人並みの生活ができればいい?

 特に20~30代のビジネスパーソンに「内省」を勧めたいもう一つの理由があります。

 私は大学院大学至善館の理事長、そして次世代リーダーを輩出するNPO法人の主宰者として、日ごろから多くの国内外の学生や若手のビジネスパーソンと接しています。

 そんな中で気になるのは、日本では「自分は何をしたいか分からない。人並みに、安全安心な人生が送れればいい」と、人生に目的意識や挑戦心を持たない若者の割合が、以前よりも増えているように感じることです。

 社会背景のひとつとして、今の20~30代は生まれたときから日本経済がずっとフラット、あるいは右肩下がりで、自分が努力をすれば報われるという経験、いわゆる「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」が持ちにくい時代だったことが大きいのかもしれません。

 戦後の高度成長期からバブル期までは、多くの日本人が「頑張れば明日は良くなる」という刷り込みを持ち、いい意味でも悪い意味でも上昇意欲の強い人たちが周りにあふれていました。

 しかし今は、自分から何かを望んで実現できたという体験を持たなかったり、周りにもそういうロールモデルがいなかったりして、執着心や野心を持たず、「人と同等の生活ができればいい」と考えている若者がとても多いと感じます。