本音は「傷つくのが怖い」

 ところが、そうした一人ひとりの気持ちをもう少し深く聞いてみると、実は少し違った本心も見えてきます。

 先日も、「そもそも自分が何をしたいのかが分からない」と悩む28歳の若者の相談に乗る機会がありました。いろいろ話をするうちに、「本当に欲しいものや、本当にしたいことはあるけれど、口にしたくない」と言うのです。なぜかと聞くと、「きっと手に入れられないし、実現できないだろうから、できない自分を認めるのが怖いし、傷つくのが嫌だ」と本音をのぞかせてくれたのです。

 「人並みがいい」と言いながら、本当は自分が望む未来があるのに、傷つくことへの恐れから、それを求めていくことから自分自身を遠ざけている――というのが、一部ではあるかもしれませんが、若者の実情なのかもしれません。

 そんな20~30代にとって、「内省」によって「自分が本当に求めているもの」を、勇気をもって自分自身に問いかけてみることは、自分自身の壁を壊す大切な第一歩となることでしょう。

 現代はPCやスマホ、さまざまなデジタルデバイスに囲まれ過ぎていて、意識しなければ自分と向き合う時間と空間をつくることは難しくなっています。恐らく、PCもスマホも開かず、何もしない、ぼうっと思索するだけの時間を日中に持つことは、ほとんどないのではないでしょうか?

 これがまた冒頭の「不毛な多忙」にもつながっています。この記事もスマホで読んでいる人は多いと思いますから、スマホを手放せというのはおかしな話(記事を読むなということですから)ですが、時にはそっと電源を切り、「内省」の時間を持ってほしいと思います。

 「内省」といっても、ただ考え事をしてさえいれば自分というものが分かり、新しい未来が開けるかというと、そうではありません。そのヒントの一つとして、次回は私自身が実践している例からお話しします。

時には何もせず、自分一人だけの思索の時間と空間を持とう
時には何もせず、自分一人だけの思索の時間と空間を持とう

取材・文/吉楽美奈子