毎日仕事に追われ、帰りの電車でうつむきながらスマートフォンと向き合う日々。本当にこれでいいのか、自分がしたかったことはこんなことなのかと、ふと思うことはありませんか? そんなときはスマホの電源を切って、誰もいない一人だけの空間と時間を持って、自身と向き合う「内省」の時間を持ちませんか? 仏インシアード経営大学院や英ロンドン大学経営大学院など世界的なビジネススクールで教べんを執ってきた野田智義氏が語る、これまでと全く違うリーダーシップ論であると同時に、人生を豊かに生きるための人生哲学です。

内省は、時間の流れと場所、視点を変える

 前回(何をしたいのか分からない、人並みでいいとうそぶく君へ)、「内省」することがなぜ今必要なのか、その意義についてご説明しました。今回は内省の「方法論」についてご紹介したいと思います。

 「内省」の方法は人によって様々で、正解はありません。私自身のことで言えば「時間を区切り、場所を変えて内省する」ことを意識して、実践しています。

 具体的には週に1度、数時間の空き時間をつくり、職場から離れたカフェなどで過ごします。そこでは、これから数カ月間、自分にとって本当にやるべきことは何かを考えます。

 例えば海外出張時の飛行機での移動などで、機内で仕事をしたりせずに「これから数年間で、自分は何をすべきか」、長い時間軸で自分自身を見つめ、考えるのです。

 日常から切り離された時間と空間で、ぼーっと考えるうちに、自分が本当にやりたいことは何か、何をやらなければいけないかがだんだん思い出されてくるのです。そんな内省の時間と空間を、意識的に、定期的に持つといいと思います。

 一番重要なのは、多忙な日常から自分を切り離して「追われない時間と場所」に身を置くことですので、海を見に行ってもいいし、母校に行ってみてもいいでしょう。そしてもう一つ忘れないでほしいことは、この連載タイトルにも入っているように、スマートフォンやPCを持たないこと。特にスマホはダメです。