「子ども欲しくないの?」「子どもを産まない人生なんて私には無理」など周囲からの言葉にモヤモヤしたことはありませんか? 精神科医の片田珠美さんに相手を傷つける言葉を吐く人の心理や上手な言い返し方を聞きました。自身も「子どもがいないからそんなに働ける。男と変わらない」と言われた経験があるそうです。

前編  子ども欲しくないの? 発言の心理&超効果的言い返し方
後編 子どもがいない疎外感やコンプレックスとの向き合い方 ←今回はここ

被害者意識を募らせる人が増えている

編集部(以下、――) 少子化が進む中、ネット上などで、「子どもがいない=社会的責任を果たしていない」といった意見を目にすることも少なくありません。数年前には、年収800万円以上の子なし世帯への増税案導入が検討されたり、独身税という言葉も話題になったりしました。正直、「子どもを持たないこと」に対し、「ラクしているのでは?」「ずるい」といった世間からの圧を感じる場面もあります。

片田珠美さん(以下、片田) 今、世の中が非常に過敏になっていて、「自分だけが不利益を被っているのではないか」と被害者意識を募らせる人が増えていると感じます。以前からこうした傾向はあったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がさらに拍車をかけています。コロナの影響で職を失ったり、給料が減ったりするなど、苦しい生活に陥っている人もたくさんいますし、誰もがいろいろな場面で我慢を強いられていて、フラストレーションがたまった状態

 そのため、自分より少しでも得をしているように見える人がいると許せなくなって、「バツを与えたい!」と願うようになり、相手を攻撃する。そして、自分こそが正義だと信じ込み、その行動を正当化しようとするわけです。このところ、ちょっとしたことで炎上したり、弱っている人をさらにたたいたりといった場面をあちこちで見るようになりました。