なぜ婦人科系疾患を発症しやすくなるのか

 高尾さんは婦人科系の病気について次のように説明します。

 「妊娠しないということは、生涯における生理の回数が増えるということ。つまり、女性ホルモンの一つであるエストロゲンにさらされる期間が長くなるのです。そうすると、どうしても子宮内膜症や子宮筋腫、乳がんなどのリスクが高まります。

 子宮筋腫は筋肉からなる子宮の壁にできる良性の腫瘍で、症状には個人差があります。よほど症状が強い場合は手術で切除しますが、そうでなければ薬や経過観察で様子をみていきます。子宮筋腫は女性ホルモンが原因で大きくなるとされています。

 子宮内膜が卵巣などの子宮以外の場所で増殖してしまう子宮内膜症、例えばチョコレート嚢胞などは妊娠すると小さくなり、改善が見込まれます。妊娠・出産を経験すると、女性ホルモンが影響を及ぼすこれらの身近な婦人科系疾患のリスクは下がるのです。

 しかし、ずっと生理がある場合、これらに罹患(りかん)したり悪化したりする可能性も。また、卵巣に子宮内膜症ができ、古い血液がたまる『卵巣チョコレート嚢胞』があると、卵巣がんのリスクが高まります。乳がんもエストロゲンが発生要因の一つとして考えられています。出産を経験していない、親族に乳がん患者がいた、アルコールをよく飲む人など、乳がんのリスクが高い人は特に定期的に乳がん検診を受けてください」

 高尾さんは、妊娠・出産をしない選択をした場合も、体へのリスクを知り定期的なメディカルチェックを受けることに加え、ピルを上手に活用してほしいと言います。

「ピルを怖がることはありません。上手に活用してください」(高尾さん)
「ピルを怖がることはありません。上手に活用してください」(高尾さん)