社会人になったばかりの20代前半の頃、漠然と「結婚して子どもを持つ」ライフプランを描いていたと話す編集プロダクション「プレスラボ」代表の池田園子さん。仕事にまい進する中、少しずつ「子どもは持たない」意志が固まってきたそうです。連載第1回では、池田さん(35)が産まない人生を選んだ理由と、子どもがいないからこそできる社会への取り組み方、したいことについて話を聞きました。

(上) 池田園子 27歳で「産まない」生き方を選択
(下) 池田園子 子どもがいない私が社会に向けて実践したこと ←今回はここ

「自分中心」の生き方に変化

 30代前半で結婚生活に終止符を打ち、プレスラボ(東京・豊島)の代表として仕事に打ち込んできた池田園子さん。離婚を経てからは、いい意味で「自分中心」の考え方が少しずつ変わり、2020年のコロナ禍によって、さらに新たな気づきがあったと話す。

 「コロナ禍で、働き方もライフスタイルも大きく変化し、2020年度は会社も少なからず経済的なダメージを受けました。でも、社員には心配をかけずに済みましたし、会社も維持できた。2021年度は勢いを取り戻しました。この間に、衣食住に問題のない生活ができて、仕事があることにすごく感謝したんです」

 自分自身が恵まれている環境にあるのだろうと実感した池田さんは、「もし、困っている人がいたら、少しでも自分にできることをしていきたい」と思うようになったと言う。

 その1つが、一人親や生活困窮家庭、外国籍の子どもたちに向けた子ども食堂、「おまめ食堂」の実施。対象は自身の住まいがある豊島区在住の12歳までの子どもたちと保護者で、近隣の北区、文京区、外国籍の人も歓迎としている。

 とはいえ、自宅は大人数を招けるほどの広さはなく、コロナ禍で会食を危惧する流れもあるため、現時点では希望者にお弁当を持ち帰ってもらう形式にしている。

 月1回の実施で、お弁当の内容は大豆製品や野菜をたっぷり使ったヘルシーな家庭料理が中心。予約制で6人までとあくまで自分に無理のないペースを維持しながら、できるだけ続ける予定だ。

 池田さんは、こうしたサポートを始めるにあたり、「ある種のエゴなのではないか」と考えたこともあったと話す。