これまで「卵子凍結」をテーマに進めてきた本連載。今回は、少し違う角度から、女性の生き方を見つめるインタビューを紹介します。主人公は「卵子提供」を2度経験したことのある女性です。

私の卵子を必要としている人がいるかもしれない

 北海道出身の小谷鈴子さん(仮名・32歳)が関西の名門大学に進学したのは2006年4月のこと。大学1年生の夏、米国に短期留学し、「海外のオープンな雰囲気が私には合っている」と感じて後期から休学し、海外への旅に出発した。そこから「型にはまらない」生き方を歩み出した。

 日本各地で旅館スタッフなどのアルバイトをして旅費をためた後、アフリカに渡り、欧州、南米、北米、オーストラリア、東南アジアなど計30カ国を巡った。そんな小谷さんが「卵子提供」を意味する「Egg Donation」という英語をネット広告で目にしたのは2012年。オーストラリアに滞在中、25歳の頃だった。これに興味を持った小谷さんは卵子提供について情報を集めた。

 卵子提供サービスを行う会社に卵子提供者(エッグドナー)として登録すれば、世界中の提供希望者(レシピエント)へプロフィルなどの情報が送られ、さまざまな条件が合えば卵子を提供することになる。ドナーは採卵手術を受ける国への渡航費や現地での滞在費は負担せず、卵子と引き換えに報酬を受け取る。何より小谷さんの気持ちを動かしたのは「私の卵子を必要としている人が世界のどこかにいるかもしれない」という思いだった。

(画像はイメージです)
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