卵子凍結をキャリア構築の観点から見つめる本連載。今回は、卵子凍結を経験した40代女性へのインタビューです。「彼氏はいるが、結婚・妊娠には思いが至らない」。時代や周囲に流されず、自分の価値観で生きる、仕事も私生活も充実しているなかでの本音とは。

(画像はイメージです)
(画像はイメージです)

友人2人の影響を受け、「39歳のうちに」と決断

 菅原美智子さん(41歳・仮名)は、東証1部上場企業の広報担当として充実した日々を送っている。菅原さんが卵子凍結を経験したのは2019年冬のこと。

 「数カ月後の誕生日が来れば40歳になるというタイミングで、『39歳のうちに』と卵子凍結を決断しました」

 菅原さんには悩み事をすべて打ち明けられる女性の友達が2人いる。2人とも菅原さんよりも年上でバリバリ働いている。「どちらも外資系企業に勤め、グローバルに活躍しているタイプです。海外での卵子凍結事情についても、最新情報を仕入れて私に教えてくれました」

 3~4年前から卵子凍結について話すことがあり、2人は菅原さんより1年先にそれぞれ卵子凍結を体験した。2人とも将来子どもを持つことを強く希望しており、お付き合いしている男性もいたが、今すぐ結婚というタイミングではなかったため、「少しでも若いうちに」と卵子を凍結した。そんな2人の姿に、菅原さんは影響を受けた。

 菅原さんは自分の将来のライフイベントについての思いを、こう話す。

 「これまで私は結婚や妊娠・出産について真剣に考えたことがないんです。自分自身、結婚や子どもをそこまで強く望んでいないのではないでしょうか。周りにお子さんを持つ友人は多く、『子どもはかわいい』『母親になった友人は輝いている』と思います。でも、自分が子どもを産んだ後の生活を全く想像できないんです」

 自分が何歳で結婚や出産をするかという将来のイメージがあるかを尋ねると、「正直、ありません。だからといって、一生、結婚や出産をしたくないということでもありません。何も『決めていない』だけなのです。ただ、人と違っても別にいいと思うし、人と違うことにストレスも感じません。そのときそのときの自分が望む生き方を選んでいきたい。そう考えています」と答えた。

 菅原さんには、20代から30代にかけて10年以上付き合った男性がいたという。