新型コロナウイルスの感染拡大で、不安な日々を送っている人も多いことと思います。「幸福学」の第一人者で慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さんに「幸せに働く」ための理論と実践をレクチャーしてもらうこの連載。最終回の今回は、自分らしい幸せを手に入れる方法をご紹介します。
「好きなことをやりたいけど、仕事にするのは無理だよね……」
「今よりも自分らしさを生かせる仕事があるはずなんだけど、何だろう……」
「華やかな仕事をしたり、発信をしたりしている友人をSNSで見て、時々落ち込む」
「自分が何をしたいのか、自分の好きなものが何か、分からない」
これからの時代は、「自分がイキイキ、ワクワクできることを見つけ、それを強みにしていくのが幸せに働くための近道になる」と言われています。確かにその通りなのですが、それができなくてストレスになっている人も少なくありません。あえて言葉にはしないけれど、自分の好きなことをSNSで発信してキラキラしている人を見て落ち込んだことがある、という人は意外と多い。しかも今は、コロナウイルス感染拡大の影響で、それどころじゃないと感じている人も多いでしょう。中には、心が疲れてしまって、ほかの人のSNSを見るとしんどい気持ちを抱いてしまうという人もいるのではないでしょうか。
こんなふうに、つい他の人と自分とを比べてしまう、という人は「ありのままに!」(独立と自分らしさ)因子が少なくなっているかもしれません。
「ありのままに!」(独立と自分らしさ)因子とは、他人と比較することなく、過度に周囲を気にせず、ありのままの自分を受け入れ、自分らしく過ごせているかを表すものです。
周囲と協調して感謝の気持ちを持って取り組むことは大切ですが、人に合わせてばかりの人生は幸せとは言えません。「幸せに働く」ためには、他者との調和をはかりつつも、「私は私」と自分のペースを保つことが必要です。
ところが今、自分のペースを保つことが難しくなっているように感じます。