その幸せは持続する?

 「すてきなプレゼントをもらったとき」「お客様からありがとうと言われたとき」「おいしい食べ物を食べたとき」など、いろいろな答えが出てくると思います。人によって幸せの感じ方はさまざまですが、経済学者のロバート・フランクは、周囲との比較で満足を得るものを「地位財」、他人との相対比較とは関係なく幸せが得られるものを「非地位財」と整理しました。

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お金やモノの地位材による幸せは長続きしません

 確かに、お金や欲しかったブランドバッグや時計、肩書、仕事のポジションなどの「地位財」を得たとき、その瞬間はものすごく幸せに感じますが、その幸せは徐々に当たり前になってきて持続しません。一方、健康や愛情、安心などの「非地位材」は家族や友人たちと楽しい時間を過ごしたり、趣味に没頭したり、仕事へのやりがいを感じたりすることでじんわりと感じる幸せであり、繰り返し、長期的な幸福感を得ることができます。

ボーナスや収入より幸福度を高めるもの

 もちろん、生活が安定する程度のお金や安心して住むことができる家がなければ、健康が保てず、安心、安全を感じることもできないわけですが、お金が多ければ多いほど幸せになるというものでもありません。臨時ボーナスをもらえれば、そのときはうれしいですが、その分だけ「日々幸せに働ける」かといえば、そうでもない。それに、収入が下がったからといって、幸せでなくなるわけでもない。

 実際は、「いい仲間と好きな仕事ができていてありがたい」「仕事を通じて充実感や達成感が得られる」「お客様から感謝されるのがうれしい」「人の役に立つ仕事ができている自分が誇らしい」など、働くことそのものから幸福感が得られることが多いほうが、「日々幸せに働く」ことにつながるのです。