今、輝いている人にお金と人生、お金と仕事について聞くこの連載。ブランドプロデューサーとして活躍する柴田陽子さんに、貯金をはたいて起業した経緯、父親の会社の倒産でお金に対する価値観が変化したことなどについて伺います。

前編 ブランドプロデューサー柴田陽子 貯金を全額使い起業 ←今回はここ
後編 柴田陽子 父の会社が倒産 気付いたお金の価値

柴田陽子 柴田陽子事務所代表
柴田陽子 柴田陽子事務所代表
1971年生まれ。大学卒業後、外食企業に入社。役員秘書を務めたのち、新規業態開発を担当。レストラン開発会社に転職したあと、2004年「柴田陽子事務所」を設立。ブランドプロデューサーとして、店舗プロデュースや商品開発、コンサルティング業務を請け負う。渋谷ヒカリエ、ローソン「Uchi Cafe Sweets」、「グランツリー武蔵小杉」総合プロデューサー、ミラノ国際博覧会の日本館レストランプロデユーサー、東京會舘、東急プラザ渋谷などのブランディングに関わる
<お金ヒストリー>柴田陽子事務所 柴田陽子社長/お金ヒストリー/23歳 外食企業に入社、役員秘書を務めたのち、新規業態開発を担当。/29歳 『レインボー・ロール・スシ』の開店事業を担当。/32歳 外食企業を退職し、転職。レストラン開発のコンサルタント業務を担当。/33歳 柴田陽子事務所を設立。ブランディングや商品開発、店舗プロデュースなど、多岐に渡るコンサルティング業務を請け負う。/42歳 アパレルブランド『BORDERS at BALCONY』を立ち上げ、デザイナーを務める。
柴田陽子さんの あのときの1万円

「起業に使った貯金全額300万円」

柴田陽子事務所を立ち上げる際、「万が一にも人に迷惑をかけてはいけない」という思いから、資本金として当時の預金残高の全額300万円を使い独立した。すべて自分が働いて得たお金ということもあり1万円もムダにしなかった。

起業のために自分の貯金を使ったワケ

日経doors編集部(以下、――) 柴田さんはこれまで、ローソンの人気スイーツ『Uchi Cafe Sweets』や東京・渋谷のシンボル的存在の商業施設『渋谷ヒカリエ』など、数々の商品開発や商業施設作りを担ってきました。もともと外食企業に入社され、秘書として働かれていたそうですね。

柴田陽子さん(以下、柴田) はい。カフェ経営に興味があって外食企業に就職したのですが、最初の仕事が役員秘書だったんです。秘書を3年務め、その後ネイルサロンの新規業態開発などをすすめ、初めてレストラン開店事業を任せられました。