辞退を申し出るくらい不安だった

 港区の麻布十番に巻きずしをカジュアルに食べるレストラン、『レインボー・ロール・スシ』の立ち上げですね。おしゃれなお店でした。

 任された当初は初めての経験で、辞退を申し出てしまうくらい不安だった。けれど、「チャンスをくれた方に『見込んでよかった』と思っていただく以外に、私に選択肢はない」と思い直して全力で取り組みました

 どんなレストランを作るか、そしてそのためにはどうすべきかを自分で設定し、実行していきました。メニュー開発を手伝ってもらうために寿司職人さんのところに通ったり、店長をお願いできる人を探したり。どんなに大変でも、お店の「あるべき姿」に対して誠実に動くことが大切だと思います。どんなにいいコンセプトがあっても、それを行動に移し、成功させなければ意味がありませんから。

―― その後、退職して独立されるわけですが、起業のきっかけは何だったのでしょうか?

柴田  私は起業を考えていなかったのですが、クライアントが「独立してみたら?」と後押ししてくれたので「応援してくださる方がいるのなら挑戦してみよう」と思ったんです。

初めて一からの事業を任されたときは辞退を申し出ようと思ったくらい不安だった
初めて一からの事業を任されたときは辞退を申し出ようと思ったくらい不安だった

貯蓄300万円を使って起業

 起業資金は、私の貯金から出しました。銀行から融資を受けたり、投資を募ったりという手段もありましたが、もし私が事故か何かで突然死んでしまったら、返済できなくなってしまう、それだけは絶対にいけないと思ったんです。当時、銀行の預金残高が300万円あったので、それを全額使って有限会社を立ち上げました。

―― 貯金を全部使い果たすというのは勇気が必要ですよね。しかし、その後も営業部門がなく、営業活動は一切していなかったそうですね。