成功者はどのようにお金を使い、道を切り開いたのか――。お金とキャリアにまつわるエピソードを紹介する本連載。第3回は人気のドーナツ専門店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を展開する若月貴子社長です。前編では、クリスピー入社前、新卒で入社した西友時代のお話を伺います。

前編 クリスピー・クリーム若月貴子 病に倒れ自分ケアに投資 ←今回はここ
後編 クリスピー・クリーム若月社長 崖っぷち=プライスレス

若月貴子 クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン社長
若月貴子 クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン社長
1969年生まれ。筑波大学第二学群人間学類卒業後、西友に入社。経営企画、海外法人担当、広報室を歴任し、38歳で経営共創基盤に転職。5年間コンサルタントを務め、2012年に転職しクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンに入社。管理本部長として経営企画や財務・総務・人事などを担当。2017年4月より同社の代表取締役社長に就任。2017年8月以降、既存店の売上高がプラスに転じている。

西友時代「業績賞与満額」は一度もナシ

日経doors編集部(以下、――)この連載では皆さんのお金にまつわるエピソードや、思い出深いお金の使い方などを聞いていきます。若月さんにとって忘れられない、お金に関するエピソードはありますか?

若月貴子さん(以下、若月) 私はキャリアの中で、予算が達成されたとか、売り上げが前年比プラスになったという経験があまりないんです。だから、お金にまつわるうれしい記憶があまりなくて(笑)。新卒で総合スーパーの西友に入社したのですが、その当時、バブル崩壊が始まり、業績が傾きだしました。それから在籍していた15年もの間、西友の既存店の売上高が前年の同月と比べてプラスになったことは一度もなかったし、業績賞与が満額出たことも記憶にないです。

<クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン 若月貴子社長 お金ヒストリー>23歳 西友に入社/26歳 海外法人担当に異動/ストレスから十二指腸潰瘍になり、1カ月間入院/ストレスマネジメントの大切さを学び、/アロマセラピーの資格取得を目指し、専門学校に通う/<若月さんのあのときの1万円>「アロマセラピー資格取得で通った専門学校の授業料」/30歳 海外法人撤退などを担当/35歳 ウォルマート担当者とのミーティングで人材投資の大切さを学ぶ/38歳 転職し、コンサルタントとして働く/43歳 クリスピー・クリーム・ドーナツジャパンに転職/傾きかけた会社の再生に動く人事制度を学ぶため、大量に書籍を購入/48歳 同社の社長に就任。店舗の整理、社内の改革を断行し、既存店の売上高が前年同月比を初めてプラスに。会社を再成長に導く
若月貴子さんのあのときの1万円

「アロマセラピー資格取得で通った専門学校の授業料」

ストレスから病を患った経験からアロマセラピーに目覚め、専門学校に通おうと一念発起。総額100万円かかった。「この授業とこの授業で1万円になる」とコスト感覚を持ちながら受講していった。