成功者はどのようにお金を使い、道を切り開いたのか――。お金とキャリアにまつわるエピソードを紹介する本連載。第3回は人気のドーナツ専門店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を展開する若月貴子社長です。後編では、大ブームが去ったクリスピーに入社し、社内改革を断行し、再び成長路線に乗せるまで格闘されたときのお話をうかがいました。
前編 クリスピー・クリーム若月貴子 ストレスから病に 自分ケアに投資
後編 クリスピー・クリーム若月社長 崖っぷち=プライスレス ←今回はここ
「人事制度を学ぶために買った書籍代」
クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンに入社後、同社を再び成長軌道にのせるために一念発起。人事が重要と考えて、人事制度に関する書籍を購入し、読みあさった。
事業会社が私の主戦場
日経doors編集部(以下、――)前編では、新卒で入社した西友時代、病に倒れたことがきっかけでストレスマネジメントをするため自己投資された話をうかがいました。後編では西友を15年間勤められた後、コンサルタント会社に転職されてからのことをお聞きします。やはり業績がなかなか上向かない会社に在籍しているのは不安だったのでしょうか。
若月貴子さん(以下、若月) いえ、私はずっと西友にいようと思ったんです。自分に価値があるなんて考えたこともなかったので。ただ熱心に転職を勧めてくださる先輩がいて、それならば、ということで重い腰をあげました。コンサルタント時代には物の見方やフレームワークなど、たくさんのことを学びました。
ただ、私は人や人の感情を大切にしたい。外部的な視点よりも、当事者として売り上げを作ったり、人を育てたり、長い時間をかけてコミットしたいと思っていたんです。やっぱり事業会社が自分の主戦場だと思ったので、4年たった頃から転職活動を始めました。
――そして、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンに管理本部長として入社されます。当時はブームの余韻があり、積極的に出店していました。
若月 私が転職エージェントに出していた希望の条件が「成長フェーズ、小規模、意思決定が早い会社」というものだったんです。クリスピーは、その当時はまだ成長に陰りが見えなくて、面白そうな会社だと思ったので転職しました。それが入社してみたら……(笑)。
――どうだったのでしょうか。