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あのときの1万円

ヤッホーブルーイング井手社長 無職の節約旅で自分探し

やりたいことが分からず続けたサバイバル旅、クラフトビール事業でどん底を経験

井手 これから俺は何を仕事にしたらいいんだろうと、自分探しの旅に出ることにしました。バイクが好きだったので、バイクに乗って最低限のキャンプ用品とお米を持って、主に東北から北海道を旅したんです。

 旅をきっかけに何か見つけようという考えも甘くて、結局、数カ月旅をしてもやりたいことは見つかりませんでしたね。ただ、旅の途中で会った人たちにお世話になって、人っていいなあ、と。それに、自分は自然が好きなこともわかったので、おぼろげながら自然と人に関わる仕事がしたいと思いました。

魚を釣って川で米を研ぐサバイバル生活

―― 収入のない状態で旅を続けていたら貯金もなくなりますよね。お金はどうしていたんですか?

井手 住んでいた部屋を借りたままにしていたんですけど、今あるお金でどれくらい借りていられるんだろうと考えると、7~8カ月だろうと計算しました。旅でもお金がかからないように切り詰めれば、そのくらいの期間は行ってこられるんじゃないかと考えました。

 旅の間は空き地を見つけてはテントを張って寝ていましたね。釣りざおも持っていたので、夕方になると寝る場所を決めて、川でイワナとかヤマメを数匹釣って枝に刺して焼きました。まとめて買ってあったお米を川の水で研いで炊いて、魚とご飯を食べるというサバイバル生活を数カ月送りましたね

「放浪の旅では何度も人の優しさに触れました」
「放浪の旅では何度も人の優しさに触れました」

―― すごい! でも、当時はスマートフォンはないですよね。天気も方向も分からなくて大変だったのでは?

井手 大変でしたね。ある日、雨風が強くなっていく中、あぜ道でテントを立ててたらおじさんが声をかけてくれて、「おまえ、台風来てるの知ってんのか? そんなところで寝たら飛ばされるぞ!」って。

 「うちに来い」って言ってくれて、お風呂に入らせてくれてご飯も食べさせてもらって、家の裏の消防団の詰め所で寝ました。お金も食べ物もなくなりかけた頃、キャンプ場で仲良くなったお兄さんにお酒とかパンの残りを分けてもらったりもして、旅の途中で人の情けをたくさん受けましたね。見ず知らずの旅人に、こんなに優しくしてくれるんだ!って何回も驚きました。

―― お金がないことに不安はなかったですか?

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