今、輝いている人にお金と人生、お金と仕事について聞くこの連載。日本のクラフトビール業界を引っ張るヤッホーブルーイング社長の井手直行さんに、うまくいかない状況を打破したお金の使い方について聞きました。

前編 ヤッホーブルーイング井手社長 無職の節約旅で自分探し
後編 ヤッホーブルーイング井手社長 どん底時代に学びに投資 ←今回はここ

井手直行 ヤッホーブルーイング社長
井手直行 ヤッホーブルーイング社長
1967年福岡県生まれ。国立久留米高専電気工学科卒業。大手電気機器メーカー、環境アセスメント事業会社、軽井沢の広告代理店での勤務を経て、1997年、ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。2008年より同社社長就任

うまくいかないのは無学のせいと勉強を開始

日経doors編集部(以下、――) 前編 ヤッホーブルーイング井手社長 無職の節約旅で自分探しでは、クラフトビール事業のブームが終わりどん底まで落ちたときに、ヤッホーブルーイング親会社の星野リゾート代表の星野佳路さんの言葉で奮起し、やるだけやってみようと前を向いたという話を伺いました。何に挑戦したんですか?

井手直行さん(以下、井手) 37歳で、楽天市場のインターネット通販をひとりで始めました。33、34歳くらいのときから、何をやってもうまくいかなくて、それは僕の頭が悪すぎるからだと思い始めたんです。それから、ビジネス書を買って読んだり、ビジネススクールのグロービスの通信教育を受けて勉強したりするようになりました。基礎講座のうち、アカウンティングやマーケティング、事業戦略など一つひとつ受けていきました。

―― その費用は自費ですか?

井手 はい、自費です。自分も会社もお金がなかったのですが、自分に投資するためにお金を使いましたね。勉強していくうちに、酒屋もスーパーも扱ってくれない、ならばインターネット通販しかないと思いました。でも、パソコンはほとんど触ったことがないし、通販の知識なんてもちろんない

 だから、楽天市場が主宰する楽天大学に通いました。毎週、当時、楽天の本社があった六本木ヒルズまで行っていろいろな授業を受けましたね。勉強していくうちに、マーケティングはこうやってやるんだとか、うちの会社が赤字なのは固定費が多いからだとか、一つひとつ、恥ずかしながら理解していきました。

井手直行さんの あのときの1万円

「インターネット通販を学んだ費用」

ビジネス書や通信教育に通い、アカウンティングやマーケティング、事業戦略などを学びました