価格競争には乗るのはやめた

田中 眼鏡業界は一時期大変な価格競争に業界全体が陥りました。OWNDAYSも「安さ」を武器に事業を拡大してきたけれど、安さだけでは売り上げが頭打ちになり、足踏み状態に陥りました。ただ安いだけでは、安さに負けてしまいます。表面的な安さだけでなく、品質が良くてデザイン性の高い眼鏡をしっかりと作り、苦しくても顧客を引き付けるサービス・店づくりを追求し続ける。本当の意味で価値のある安さを提供できるようになったことで、再び成長軌道に乗せられるようになりました

―― そういった改革はうまくいきましたか?

田中 当然失敗もたくさんありましたよ。最初は会社の体力が落ちていて、売る力もないので、眼鏡のメーカーさんも協力的ではありませんでした。前経営陣の時代に売れ残った商品を返品して迷惑をかけた企業もあるので、OWNDAYSの名前を出すと露骨に嫌な顔をするところもたくさんありました。けれど、そこは誠意を尽くしてお付き合いしながら、なんとか粘り強く交渉して、高い品質とデザイン性のある商品を仕入れるしかない。自社ブランドも開発していく必要がある。

 眼鏡のメーカーさんの工場がある福井県鯖江市に何度も行って、頭を下げて商品を開発していきました。こうして魅力的な商品を開発し、新店の出店も進めていました。

後編に続く。

取材・文/都田ミツコ 写真/花井智子