「思い込み」という鎖を断って挑戦した
池田 教員として就職先が決まっていたんですが、諸事情でその話がなくなってしまいました。どうしようかと思っていたとき、ご縁をいただいたんです。チャンスは少ないかもしれないけど、自分を拾ってくれる企業があるなら、もう1回挑戦してみようと思いました。この頃に出会ったのが『自分を磨く方法』(アレクサンダー・ロックハート著)という本。諦めかけていた自分を奮い立たせてくれたんです。
―― 付箋がびっしり! かなり読み込んでいる感じですね。どんな内容なんですか?
池田 この中に「サーカスの象」という話があります。サーカスでは調教のために、子どもの象の首に大きな鎖を巻くんだそうです。象は逃げようとしても鎖で縛られているから動けない。そのまま大人になって鎖を外しても、象はまだ鎖を巻かれている状態だと思っているから、本当は大きな物を動かせる力があるのに、できない。それは人間も同じだということが書かれていました。例えば、小さい頃の失敗体験が心に残っていて、自分にはできないと思い込んでしまっているのかもしれない。
このサーカスの象と当時の自分がシンクロして、私も「思い込み」という鎖を断ち切って挑戦すれば、自分にも可能性があるはずだと、そんな気持ちになれたんです。この本をきっかけに「自分もできる」というメンタルに変わりました。海外遠征にも五輪にも持っていった、お守りのような本です。