目標に向かってたゆまぬ努力をつづけたオリンピアン。日々の厳しい練習だけでなく、周囲からの大きすぎるプレッシャーにライバル選手の動きなど、超えなければならないハードルがたくさん。そんななか彼らはどのようにして栄光の舞台で自分の力を発揮したのかを伺う本連載。今回は元女子モーグル日本代表の上村愛子さん。20年もの間5回の五輪に挑み続けた上村さんを支えたものについて伺いました

上村愛子さん
上村愛子さん
元女子モーグル日本代表。1979年兵庫県生まれ。3歳でスキーを始め、中学2年の時にアルペンスキーからモーグルに転向。白馬高校を経て北野建設に入社。98年、18歳で長野五輪に出場して7位入賞。2002年ソルトレークシティー五輪で6位、2006年トリノ五輪では5位、2010年バンクーバー五輪4位、2014年ソチ五輪4位。2007-2008年シーズンのワールドカップで初の種目別年間優勝を果たし、2009年世界選手権を制覇。2014年に引退 。2009年に五輪アルペン代表の皆川賢太郎氏と結婚。

課題をクリアにするのに役立ったノート

日経doors編集部(以下、――) メダル獲得まであと一歩という悔しい思いを何度も経験されながら、あきらめることなく5回の五輪に挑まれました。目標を達成できないことに心が折れそうになったり、迷ったり悩んだりしたときもあったと想像しますが、20年もの間、チャレンジし続けることができた上村さんの心を支えたものはなんだったのでしょう。

上村愛子さん(以下、上村) メダルを取れなかったのは自分に何が足りなかったのかーー。五輪が終わるたびにその疑問に悩まされました。私の目標はどの五輪も金メダルを獲得することでした。そのためにライバルより突出した武器を身に付けようと新しい技術にチャレンジするなど、課題を一つひとつクリアしてきた競技人生だったと思います。そんな自分を支えてくれた1つが、ノートでした。

上村愛子さんのノート。練習をしたときには必ず記入していた
上村愛子さんのノート。練習をしたときには必ず記入していた