日本版パリテ法は結局、名ばかりだった

 政治分野での144位は衝撃ですが、政治分野で特に男女平等が遅れているなんて、本当はみんな、元から分かっていたことだと思います。2018年5月、「政治分野における男女共同参画推進法」(通称:日本版パリテ法)が施行されました。これは政党に「男女均等の候補者擁立」を求めた点が画期的でした。

 でも結局、違反の際の罰則などは設けられず、「女性の活躍」推進をうたう安倍政権が属する自民党や自民党と共に現在の与党である公明党は、候補者の女性比率10%台でしたし、その前の参議院選挙と比較すると比率を落としています。

 自分たちで決めた法案のはずなのに、どうしてそこに掲げられていることを実現しないのか、理解に苦しみます。

 政党だけでなく、企業活動や行政も同様だと思いますが、体のいい「女性活躍」「男女平等」とうたうだけでは本当に意味がないので、思ってもいないのならアピールとして使わないでいただきたいです。

今の私にできること

 いくら今の政治が悪くても、国民と政治家は表裏の関係にあり、相互に影響を与えているものです。政治家を選んでいるのも私たちだし、育てなければならないのも私たちだということです。どこか国民と政治の相互関係の中で組み替えていく必要があるとしたら、少し無理してでも私は女性議員が増えるように社会の実態が変わるように求めていきたいと思いますし、私としてもできることをしていきたいと思っています。

 私が政治に関心を持ったきっかけは、10年前のこと。

 小学5年生のときに、神奈川県平塚市で青少年議会を経験したことでした。青少年議会は、夏休みに平塚市に住む児童・生徒たちが、関心のあるテーマでチームを組んで提案をつくり、議会で市長に模擬質問するといった内容であったと記憶していますが、何より私が覚えているのは当時の平塚市長は女性(編集部注記:大藏律子氏)だったということです。自営業や専業主婦・パートなど以外で働く女性を先生以外に知らなかった私は、女性が社会をつくるリーダーを担っていることを知り、とても勇気を持ちました。

 今、21歳で将来私が何になるかは分かりませんし、政治家になるかも分かりませんが、あのとき働く女性として知ったのが市長・政治家という職業だったから、政治に関心を持ちました。

 世界の多くの国々は、日本より速いスピードで、「女性が活躍する」社会をつくっています。でも、それは自然につくられたものではなく、そのために闘っている、きちんと努力し実行している人たちがいるということです。

 今、私は日本で政治参加をカルチャーにしたいと「NO YOUTH NO JAPAN」という活動をしていますが、私が10歳のときに女性市長を知って政治に関心を持ったように、私たちの活動をきっかけに一人でも政治に関心を持つ女性が増えれば嬉しいなと期待しつつ、今後も続けていこうと思っています。

文/能條桃子 写真/稲場美咲