質的変化は2段階でなされる

 同時に、政治や経済の場で男女ともに席が用意されていたとしても、志望する女性が少ないことが議論に上がることもあります。それに対して思うところは二つあります。

 一つは、そもそも「制度が整っていない」ということ。仮に「女性も歓迎します」「新しい制度をつくりました」と銘打っていたとしても、男性だらけの会議室や国会で決められたものであれば、「性別に関係なく挑戦できる環境が整った」とはなりません。男性主導で培ってきた彼ら基準のルールで機能している環境であり、女性が立ち上がるにはハードルが高いです。

 もちろん男性や男性主導の組織がいけないという話ではなく、男女両方で社会が成り立っているのだから、そのバランスがさまざまな組織体において同じように機能する社会構造であることを目指すべきなのではと考えています。

 次に、女性個人の意識に立ち返ると、彼女自身だけの問題ではない複雑さをはらんでいるということ。幼少期からのジェンダーロール的教育が後にさまざまな意思決定の場で無意識のうちに大きく影響しています。だからこそ、長期的な質的変化が必要だと思っています。

 つまり一言で「ジェンダーギャップへの課題解決」と言っても、ルールチェンジのような抜本的な「量的変化」と、動き出す女性たちへの支援体制という意味での短期・中期的「質的変化」、そして幼少期からのジェンダーバイアスのない教育など長期的な意識改革という「質的変化」の三つを、それぞれのフィールドで実施していく必要があります。これをもう少しひも解いていこうと思います。