誰とどこで話すか、本音を出せる場所を探している

 女性管理職たちの反応はハイスピードでした。関心がない? まさか! 「どう思いますか?」というざっくりした質問に、次々と返信が集まり、関心が高いことがすぐに分かりました。

 ただ、悲観的なものも多くありました。「まだまだ変わらないだろう」「ハラスメントがなくならない現実からすれば当然の結果」「政治も経済も本気じゃないからしかたない」……多くは諦めでした。

 社内で話しているか聞いてみると、「話題になっていない」そうで、「話しても無駄」「面倒な人だと思われたくない」とのこと。当たり前が変わらない現実の中で、少数派である女性は孤独を感じ、疲弊しているのでしょう。繰り返しますが、関心がないわけではないのです。誰とどこで話すか、みんな本音で話せる場所を探しているのです。

121位からのダイバーシティ

 ダイバーシティ経営戦略は女性活躍だけでなく、LGBT、障害、外国籍、世代など、さまざまな視点の取り組みへと広がってきています。このままではダイバーシティ経営で孤独になる人が増えてしまいます。企業の短期的な利益追求ではなく、持続可能な社会づくりに貢献できるよう、一人ひとりが考え、語り、行動することが必要です。

 企業に女性が増えていく過程で必要なのは、隣の足を引っ張る過剰な競い合いをしないこと、一人だけで頑張ろうとせず、縦や横のつながりで進むことです。

 飛び抜けた少数の女性が成功を示す時期は終わり、多くの女性が期待に応えようと背伸びしています。仲間も一緒に成長できるチャンスです。たとえ競合他社や年上の先輩であろうともです。これまでのような、戦って自分だけの成果を勝ち取る方法ではなく、爪先立ちで震えている人に手を差し伸べることは重要です。

 つまり、巡り巡って来たチャンスもスキルも成功も、独り占めしない。自分が離れたポジションや組織は、誰のものになろうと関係ないなんて思わずに、他の女性にしっかり手渡す。今の自分にメリットがあるかどうかで判断していたら、いつまでもこの状況は変わりません。

 最後にご紹介するのは、クラスでこのニュースを話し合った中学生です。

 「私は不自由を感じていないから差別はないと思ってたけど、みんなと話し合ってみて身近に男女差別があるって気づいた。今まで自分の損得しか考えていなかったけど、つらい思いをする他の人を想像することが大切なんだ。身の回りの小さなことから考えよう」

 女性がリーダーシップを発揮することで変えられる未来があります。121位は、持続可能な組織をつくるきっかけになるはずです。

文/小嶋美代子