世界経済フォーラム(WEF)が2019年12月17日に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」。日本の順位は調査対象153カ国のうち121位とさらに後退し、「過去最低」のスコアとなった。ジェンダー・ギャップ指数とは、経済・政治・教育・健康の4分野14項目のデータを基にして、それぞれの国の男女格差を分析したものだ。女性活躍を政府・企業ともに推進しているはずが、中国・韓国・アラブ首長国連邦より下位に評価された日本。各界のリーダー達に意見を聞いた。
121ショックで出てきた意見
ダイバーシティ(多様性)が企業の経営戦略に入るようになったのは10年以上前のことです。今では7割以上の認知度がある言葉です(NPO法人GEWEL調べ)。その初めの一歩である女性活躍推進は、想定外の変化に対応できる組織力であり、イノベーションの源泉としても期待されています。
世界経済フォーラムの男女平等度ランキングにおいて、2006年当初から日本の順位はほとんど変化しておらず、最下位から数えて30国近辺の常連です。2019年12月の発表でも153カ国中121位、これは過去最低の順位です。政治だけでなく、経済においても大きな伸びがありませんでした。ダイバーシティ経営企業が増えている中、企業の方々はこのニュースをどのように感じられたのでしょうか? SNS、メール、対談、大学・企業の研修など、発表直後の3日間をフル活用して、100人に聞いてみました。
「やっぱりね……」「思ったより低くて残念」「予想通りで何とも思わない」――最初はそんな声で始まりましたが、興味深いのはその続きでした。
「クオータ制で男女比率を是正すべき」「トップ層のイクボス改革を」など解決策が次々と提示され、10年間のダイバーシティ経営による成果を感じました。一方、「評価基準に問題があるのでは」「ランク付けする必要を感じない」など、調査そのものに疑問を呈する意見もありました。基準は定期的に見直されていますし、経営戦略であるなら客観的な現状把握のためにも定量評価が不可欠です。
40~50代男性からは、「女性が男性同様に働くのではなく、男性が家事育児できる働き方を」「男性育休や副業で社会は変わるのでは」など、昨今の変化を受けて加速を求めているようでした。
ある女子大学では「こんな状況が続くなら海外に出たい」「英語力を付けて選択肢を広げたい」と、121位の話を飛び越えて、世界に目を向けているのが印象的でした。
確かに、海外でもこのニュースは報じられています。アジア唯一、前回までずっと10位以内に入っていたフィリピンは今回16位に下降しました。フィリピンの友人によると、「職場がこの話題で持ち切りだった」そうですが、「日本の女性に話しても興味なさそうだよね」というおまけが来ました。本当に日本の女性はこの件に関心を持っていないのでしょうか?