「女だからといって苦労した覚えがない」と言うのはやめよう

 では、女性にできることは何でしょう。最初に「もはや男女格差は女性主体の問題ではないと思っています」と言いましたが、私を含め、既に男性社会の中である種の地位を享受してきたわずかな女性たちにできることがあります。

 それは「私自身は女だからといって特に苦労をした覚えがない」と言うようなことをやめることです。121位というのは歴然たる事実です。

 私たちも次の世代の日本に愛があるのであれば、121位の事実を導いているその現実の場に逆に身を置いてみる必要があります。苦労をした覚えがないのは、無関心か、その場所を避けてこられた特権なのです。

 「愛の反対は無関心」という有名な言葉がありますが、次の世代の日本に愛があるのであれば、全員がこの問題に関心を持つ必要があります。

 私たちは世界から「醜く、恥ずかしい」社会だと烙印(らくいん)を押されたのです。 「醜く、恥ずかしい」という言葉をあえて使うのは、フィンランドやカナダなどの組閣時の写真を見ると分かることです。

 男女同数で組閣したカナダのトルドー首相はこう言いました。「強く多様なチームです」と。世界で強いということはそういうことなのです。世界から国際競争力のない国だと見捨てられる前に、この問題の大きさに声を上げて語り合いましょう。

男性が圧倒的な多数を占める日本の内閣(2019年9月11日)
男性が圧倒的な多数を占める日本の内閣(2019年9月11日)
男女同数で組閣したカナダ(2019年11月20日)
男女同数で組閣したカナダ(2019年11月20日)

文/奥田浩美 写真/吉澤咲子、新華社/アフロ(日本の内閣)、ロイター/アフロ(カナダの内閣)