世界経済フォーラム(WEF)が2019年12月17日に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」。日本の順位は調査対象153カ国のうち121位とさらに後退し、「過去最低」のスコアとなった。ジェンダー・ギャップ指数とは、経済・政治・教育・健康の4分野14項目のデータを基にして、それぞれの国の男女格差を分析したものだ。女性活躍を政府・企業ともに推進しているはずが、中国・韓国・アラブ諸国より下位に位置する日本。各界のリーダー達に意見を聞いた。

 日本社会におけるウーマンエンパワーメントの重要性に気付き、Facebook のシェリル・サンドバーグCOOが創設したNPO団体Lean Inの日本地域代表となるリーンイン東京をCo-founderとして設立した鈴木伶奈さん。現在はオランダ・アムステルダムへ移住し、メディア企業で働いている。そんな鈴木さんは「ジェンダー・ギャップ指数、日本は過去最低」のニュースに何を感じたのか、メッセージを寄せてもらいました。

鈴木伶奈/リーンイン東京Co-founder
鈴木伶奈/リーンイン東京Co-founder
慶應義塾大学卒業後、外資系投資銀行に入社し、シンガポール・東京にて経験を積む。日本で働き始めたことをきっかけに、日本社会におけるウーマンエンパワーメントの重要性に気付き、Facebook のシェリル・サンドバーグCOOが創設したNPO団体Lean Inの日本地域代表となるリーンイン東京をCo-founderとして設立。その後、夫と愛犬と共にオランダ・アムステルダムへ移住。現在はアムステルダムのメディア企業で働く。

女性管理職30%、達成している会社はどれくらい?

 2019年のジェンダーギャップ指数が発表されました。日本のランキングは過去最低の121位、スコアは0.652。日本における男女の不平等が顕著に表れた結果です。本当は国や会社がトップダウンで変化を起こしていくべきですが、残念ながらそれを待つだけでは、全く変化が起きそうにありません。私たち個人(男性も女性も)が行動をしなければ、この状況は変わらないことが今回のジェンダーギャップ指数の発表で分かったのではないでしょうか。

 今回、ジェンダーギャップ指数が過去最低になったのは、一言で言うと他の国がこの問題に対してしっかり取り組んで進歩している一方で、日本が変わっていないことが大きな理由です。ジェンダーギャップ指数は大きく4つの要素で決まっていますが、特に日本は政治における女性議員の数と、会社における役員の女性の数が少ないことが、今年のランキングの低さに表れています。

 「女性活躍」という言葉はよく聞くようになったけれど、実際にこの一年で何か変わったでしょうか? 政府が管理職の女性を30%以上にするという目標がありますが、この目標を達成している会社はいくつあるでしょうか。

オランダではクオータ制度が義務化

 過去15年間の世界経済フォーラム(WEF)による4つのジェンダーギャップのスコアを見ると、ほぼ何も変わっていないのが現状です。政府や会社が男女不平等への対処を喫緊の課題として設定し、さまざまな制度を義務化していかなければいけません。

 政府は投票率を上げるためのPR活動として、「女性活躍」を利用しているだけに見えますが、それでは何も変わりません。私が住んでいるオランダ(ジェンダー・ギャップ指数は38位)でも、政府が日本と同様に30%の目標を設定しましたが、残念ながら何も変化が起きなかったため、(女性の割合を、あらかじめ一定数に定めて積極的に起用する)クオータ制度の義務化が2020年から制定される予定です。このように、政府が率先して制度を作っていかなければ、来年のランキングもまた落ちてしまうでしょう。