コロナ禍以降、人とのリアルな接点が薄らぐ中で、「思いを言葉にする力」がより求められている。広告代理店・博報堂を定年退職後もスピーチライターとして活躍する博報堂フェローのひきたよしあきさんとインフルエンサーで、日経doorsでも「私と夫と子どもの話 byはあちゅう」を連載中のはあちゅうさんの新春特別対談。日々心の声と大切に向き合いながら、言葉の可能性を追求している二人に、言葉で伝える力を磨く方法と、20代からの人生をより充実したものにするためのアドバイスを聞いた。

(1)はあちゅう×ひきたよしあき 相手に伝わる言葉磨く方法
(2)はあちゅう 20代はブラックな野心が成長を後押しした ←今回はここ
(3)ひきたよしあき 「自分への弔辞」で人生の目標が定まる
(4)はあちゅう×ひきたよしあき 20代でやっておきたいこと

話すのが苦手な人が取り組みたいこと

日経doors編集部(以下、――) 話すことに自信のない人が、言葉の引き出しを増やして伝える力を磨くには、どうすればいいのでしょうか?

ひきたよしあきさん(以下、敬称略) まずは、自分の中に言葉を蓄積することが大切です。気づいたことはその都度メモをして、効率的に取り出せるように整理しておきましょう。スマホのメモでもいいのですが、やはり手で書くほうが断然記憶に残ります。

はあちゅうさん(以下、敬称略) 私も、メモと日記は昔からずっとつけています。言葉の力を養うには、やはりトレーニングが必要だと感じますね。今、子育て中なのですが、日々1歳の息子に向かって接していると自分の使用言語がどんどん狭くなって、大人と仕事をする上で思うように言葉が出ないときがあるんです。ひきたさんは言葉が出ない状況を「花火が湿っている状態」と表現していましたが、まさにそんな状況。花火が湿って言葉がうまくつながらない。だからこそ、単語をピックアップできるような訓練を日ごろからしなくてはいけないと痛感しています。

ひきた よく「ボキャブラリーがない」という悩みを聞きますが、実はそうではなく、脳にインプットされている言葉が、湿った花火のようにパッとひらめかなくなっているだけなんです。言葉がすらすらと出るのは、夜空に花火がパパパッと連続で打ち上がるような感じ。でもそのためには、はあちゅうさんが言うようにトレーニングが必要です。

 例えば、30秒間でモノの名前を声に出して10個言ってみてください。きちんと声に出すことがポイントです。短い時間の中で花火をひらめかせる訓練をすることで、誰でも言葉がすらすらと出てくるようになりますよ。伝える力を磨くトレーニングにはさまざまなアプローチがありますが、できることからまず始めてみてもらえたらうれしいです。

子育て中は特に、「単語を瞬時にピックアップできる訓練の必要を痛感」とはあちゅうさん。「30秒間でモノの名前を声に出して10個言うトレーニングがお勧め」とひきたさんはアドバイス
子育て中は特に、「単語を瞬時にピックアップできる訓練の必要を痛感」とはあちゅうさん。「30秒間でモノの名前を声に出して10個言うトレーニングがお勧め」とひきたさんはアドバイス