平日は残業や友人との付き合いなどで帰宅が遅く、毎日眠い目をこすって仕事をこなし、休日はほとんど寝て過ごして終わってしまう……。そんな生活を送るdoors読者も少なくないのではないでしょうか。睡眠医学の発祥の地である米国スタンフォード大学の睡眠医学センターで臨床と研究を続ける河合真先生は、「日本人は慢性的な睡眠時間不足」と危機感を抱き、SNSで「寝よう!」と呼びかけています。第3回は「朝活と昼寝」について。上下編でお送りします。

上編 「朝型」「夜型」は遺伝 「朝活」には向き不向きがある
下編 生活をセルフコーディネートして睡眠時間を確保しよう ←今回はココ

確かに昼寝でパフォーマンスは上がるが…

 さて、朝活とともに、「15~20分程度の昼寝をすると疲労が回復し、仕事や勉強の効率が上がる」という昼寝に関する記事もよく見かけます。15~20分という短い時間が推奨されているのは、長く寝ると深い眠りに入ってしまい、起きたときに脳が再起動するまでに時間がかかるためです。最近では、「昼寝の時間を有効に使って、睡眠時間を確保しましょう」などとうたっている、昼寝ができるカフェや施設なども見掛けるようになりましたね。

 確かに、昼間短い仮眠を取ると、その後のパフォーマンスが上がることは分かっています。しかし、それは夜間の睡眠時間を同じにして「昼寝を取る場合」と「昼寝を取らない場合」を比較した研究結果です。

 決して「昼寝で夜間の睡眠を補えるか?」というような研究ではありません。夜間の睡眠時間の不足を昼寝でリカバリーしようなどというのは本末転倒です。