平日は、残業や友人との付き合いなどで就寝時間が遅くなり、休日はほとんど寝て過ごして終わってしまう……。そんな生活を送っている日経doors読者も多いのでは? 睡眠医学発祥の地である米国スタンフォード大学の睡眠医学センターで臨床と研究を続ける河合真さんは、「日本人は慢性的な睡眠時間不足」と危機感を抱き、SNSで「寝よう!」と呼びかけています。第6回は「年齢と睡眠」についてです。

 こんにちは。河合真です。皆さんは「まだ若いから、無理がきくだろう」と言われたり、そういう会話を周りで見聞きしたりしたことはありませんか? 今回は年齢による睡眠の変化について話したいと思います。

 日本のビジネスシーンでは、中高年になると「もう若い頃のようなむちゃな働き方はできない」と認識されていて、「早く帰って休むように」と言われ、若い人ほど「体力があるから」と無理を強いられる傾向があるように思います。医師の世界でも「40才以上は当直勤務免除」のところが少なくありません。

20~30代が8時間寝なくてはいけない理由

 「年をとると無理がきかない」「若いと無理がきく」ことは事実なのですが、実は、正確に言うと「若いと柔軟に補うことが可能」というだけで、若ければ若いほど長い睡眠時間が必要なのです

 健康に悪影響を与えない睡眠時間は、60代以上では7時間程度ですが、それより若い年代では、7時間半~8時間。doors世代である20~30代の女性であれば、それぐらいの睡眠時間が必要です。

「今日も早く寝よう!」 doors世代には「7時間半~8時間」の睡眠が必要。その理由は…
「今日も早く寝よう!」 doors世代には「7時間半~8時間」の睡眠が必要。その理由は…

 では、なぜ若いほど長い睡眠が必要なのでしょうか?