「欧米から○○年遅れて~」はもう卒業! doors世代ならできる

 ここで反省したいのは、日本のルールチェンジはいつも「欧米から○○年遅れて~」という枕詞が多すぎて情けないこと。ジェンダー問題のみならず、環境問題や働き方改革など、ルールチェンジの発端はほぼ欧米先進国ではないか? 自ら変えたい、変わりたいと思ったことを自国でダイレクトに変化させていく気概が欲しい。

 しかし希望もある、それがdoors世代なのだ。日経doorsで人気の登場人物には、ニシブマリエさん鈴木伶奈さん中山紗彩さん山本和奈さん疋田万理さんなど、若いうちから海外に活動の場を広げ、グローバルでは当たり前の“correct(正しい)”という感覚が自然と備わっている方が多い。#MeTooの伊藤詩織さんの訴えも、逆輸入という形でしか圧力がかからず、国内で遅まきながらセクハラ被害が認められたという顛末だった。こんな輸入型マインドチェンジはもう卒業しなければならないし、doors世代はそれができるパワーを持っている。若い世代の“正しさ”が、今年も日本をリードするに違いない。

日本では「バス・ガール」、フランスではシャネルの「少年風ズボン」

 もうひとつ私が注目した100年前の出来事は、女性の人気職業だ。日本では東京で「バス・ガール」を採用し始めたのをきっかけに、一躍バス・ガールが憧れの職業となった。しかし私は、子どもの頃からこの話が好きではない。なぜって、その職業、どうしても男性のアシスト役のような仕事に見えてしまうから。どうせ毎日バスに乗るなら、通勤男性と一緒に会社に向かって働いてみない? なんて思ってしまうのである。

 一方、私が好きな歴史は、同じく1920年にフランスでココ・シャネルが「ラ・ギャルソン」シリーズを発表したこと。ギャルソン=少年風で、直線裁ちの太いズボンをデザインし、それが動きやすいと大人気となった。シャネルは、これまで身体を締め付けていた女性たちを解放させた、デザイン界随一のフェミニストである。

 時代は移ろい100年後の2020年。女性の身体や性を既存のルール(規則)とロール(役割)からいったん解き放って、今の自分に一番合う形を見つけてみない? と提案するムーブメントが起こっている。その例が、#KuTooの石川優実さんであり、卵子凍結を実践するスプツニ子!さんであり、セックスと出産を切り離すことをテーマにした川上未映子さんなのだ。