- (1)失敗から何を学ぶ?次のキャリアにつながる立ち直り方
- (2)うつ後に社内起業、社長、異業種転身…執着せず人生挽回 ←今回はココ
- (3)就活60社全落ち&職を転々 ケニアでアパレル起業
- (4)失敗からの回復法 レジリエンスの鍛え方と楽観性の誤解
- (5)13事業中5撤退 連続社内起業家の失敗に折れない秘訣
20~30代でIT関連のテクニカルライターとして20冊以上の書籍を出版し、40代で写真売買アプリのSnapmart(スナップマート)を開発。現在は、栃木サッカークラブの取締役・マーケティング戦略部部長を務める江藤美帆さん。輝かしい経歴を歩んできたように見えますが、その裏には人知れず苦悩した過去があったといいます。江藤さんが経験した失敗と、それをどのように自分の力に変えてきたのか聞きました。
働き過ぎて燃え尽き、「うつ病」に
「新卒で自分が希望する道に進めなかったという点では、私のキャリアは『失敗』から始まっています」
そう語るのは、大学時代に米国に留学し、現地のマイクロソフトでインターンとして働きながらソフトウエアの日本語化に携わった経験を持つ江藤美帆さん。約4年間の留学を終えて帰国しましたが、当時の日本は就職氷河期。新卒者の就職難が社会問題になっていた時代であることに加え、帰国時期が日本の就活スケジュールと合わず、新卒入社を断念せざるを得なかったといいます。
「本当は留学経験を生かして、外資系IT企業や日本の大手コンピューター関連企業に就職したいと思っていました。でも、帰国してみると新卒の求人自体がなく、自分の努力ではどうすることもできない状況で。留学前のバブル期には、大学の先輩たちが順調に大手企業に就職する様子を見ていたので、その落差に愕然(がくぜん)としました」
しかし、働かないわけにはいかないため、大学時代に記事を書いたことのあるコンピューター関連の雑誌社に相談し、フリーランスのテクニカルライターとして働き始めた江藤さん。専門知識を生かしてITテクノロジーに関する書籍を手掛けるようになり、仕事は軌道に乗っていましたが、社会人になってから5年がたったある日、「布団から起き上がれなくなった」といいます。働き過ぎて燃え尽き、うつ病になったのです。