どんなに輝かしいキャリアを歩んでいる人にも、失敗はある。大切なのは失敗から何を学び、どう立ち直るか。そこにはキャリアのヒントにつながる要素が詰まっています。失敗を力に変えた人のストーリーをご紹介します。

2018年にアフリカ・ケニアでアパレルブランド「RAHA KENYA(ラハ ケニア)」を立ち上げた河野理恵さん。色鮮やかなアフリカ布を使った洋服や小物は発売から数時間で完売することも。創業から2年で売り上げは6.5倍に伸び、今年からケニア人テーラーのプロデュース商品も発売する予定だ。日本から遠く離れたケニアで活躍する河野さんだが、20代は就活で60社全落ちし、介護やアルバイト、派遣など職を転々とする日々を送っていた。「自信のなさが原動力となった」と話す河野さんがやりたい仕事を見つけるまでに重ねた「失敗の軌跡」をたどった。

就活で人生初の挫折

 河野さんの人生初の挫折は就職活動。都会でバリバリ働きたいと、営業職を中心に60社近く受けるも全社落とされてしまった。

 「専門的な資格が取れる上に響きがかっこいいという理由だけで、製薬会社のMR(医療情報担当者)を目指していました。ヒールをカツカツ鳴らして歩くキャリアウーマンになれば周りから褒められる、認められる。そんな志望理由だったので、どこも受からずに60社全滅だったんです。そろそろまずいなと焦りを覚えたときにはどの職種の募集も終わっていました」

 大学4年生の5月。周りの学生が続々と内定をもらう中、河野さんは大きく自信をなくしてしまった。

 「私はそれまで高校受験は推薦、大学もそのままエスカレーター式で入学したので、努力せずに大学まで行けてしまったんです。勉強以外にも何かに対して努力したり、努力した結果成功したりという経験がなく、人生イージーモードでした。就活もインターンシップなどの経験があれば、受かるだろうと思っていたんです。自分のことを高く見積もっていましたが、就活でへしおられたんです。自分が求められてないことに気づかされました」

 そして、6月に内定をもらえたのが介護職。しかし、結局1年で辞めてしまう。その後はアルバイトをしながら大学に通い、教員免許を取得するも教育実習で「教員に向いていない」と断念。その後、不動産会社の派遣社員から4カ月で正社員になった河野さん。同僚だった男性と結婚し、ケニアの地へ行くことになった。しかし、そこで引きこもり生活を送ることに。数々の挫折や失敗を経験した河野さんが、何を学んで、ケニアでの起業を果たしたのか、次のページから詳しくお伝えする。