今の仕事では物足りない。自分の価値を発揮できる場所は、もっと他にある気がする――。そんなとき「フリーランス」という選択が頭をよぎる人も多いはず。独立の「光と闇」、成功に必要な知識・ノウハウまでを、ギュッとまとめてお届けします。

フリーランスには会社員には存在しないリスクがあります。今回は、それらから身を守るために、知っておくべき法律や制度などについて西村あさひ法律事務所の塚本健夫弁護士に聞きました。自分の身は、自分で守りましょう!

労働者として保護されない

 自由には責任がつきものです。特に日本の場合はフリーランスという働き方があまり一般的ではなかったこともあり、特有のリスクがあることも事実。社会制度で見ていくと、フリーランスには2つの大きなリスクが存在します。労働者としての法律の保護がないこと、そしてマネーリスクです。

 これらについて、フリーランスの法律問題について詳しい、西村あさひ法律事務所の塚本健夫弁護士に解説してもらいました。

フリーランスには法律の知識が必要

 会社員であれば、「労働者」として労働法令が適用されるため、会社が解雇をしたいと思ってもそう簡単には解雇できません。また賃金は毎月1回以上、直接支払わなければならず、法定休日を定めることも義務付けられています。

 業務中に、業務に関連してケガや病気をすれば労災保険が適用され、休業期間中の所得も、一定の保障があります。労働者が団結して労働組合を作って団体交渉を申し入れることで、労働条件の改善を求めることもできます。

 一方、フリーランスは原則として「労働者」にはあたらないため、これらの労働関連法が一切適用されません。発注者との間で業務委託契約を締結している状態にあたり、業務委託契約は民法上、「請負契約」か「準委任契約」と解釈されることが多いのです。そのため、ある日突然契約解除を通知されるリスクがあります

 また法定休日という概念もないため、自分で健康上のリスクを考えながら、必要に応じて休みを取りつつ働かなければいけません。労災保険の適用も原則としてないため、業務中のケガや病気に備えて任意保険に加入する必要があります。

 「フリーランスはトラブルが起きても労働基準監督署に相談できないため、個別に弁護士へ相談するしかありません。交渉力の弱さから不利な条件で契約を締結してトラブルにならないよう、法律の知識を身につけておきましょう」(塚本弁護士)

 しかし、もちろんフリーランスを守ってくれる法律も存在します。次ページから、フリーランスならまずは押さえておきたい「契約の知識」「独占禁止法」「下請法」についてご説明します。また、違法となる可能性のあるケースを紹介、トラブルを避けるための対応策も解説していきます。