ストレスが溜まったり、落ち込んでしまったりするときに、その対処法を知っていれば、心強いはず。さまざまな専門家や過去にメンタルダウンした経験がある女性からメンタルを守る方法について聞きました。

長く続くコロナ禍に、心は疲れていませんか。仕事や、プライベートを頑張り過ぎていませんか。心が疲れてしまったときにはどう対処すればいいのでしょうか。今回は、メンタルのバランスを崩してしまったときの体験談がTwitterで多くの共感を呼んだ『がんばらなくても死なない』の著者、竹内絢香さんに話を聞きました。

竹内絢香さん
漫画家&イラストレーター
『がんばらなくても死なない』(KADOKAWA)は、Twitterで多くの共感を呼んだ


激務の会社員時代 祖父の葬儀で「後悔ない人生を」

 幼い頃から絵を描くことが大好きだった竹内さん。「いつか絵を描く仕事に就きたい」と思いつつも、一方で「将来は、収入が安定している職業に就かなければ」と考えていたそう。

 「その理由は、『就職し、安定した道を進んでほしい』と願う両親の思いや、育ってきた土地柄といった環境の影響もあると思います。私自身も、『絵を描く仕事は収入が不安定かもしれない。その道を選択したら、両親たちに心配をかけてしまうのではないか』という思いをずっと持ち続けていました」

 「絵を描きたい」気持ちを封印して、美術大学ではない大学へ進学。その後、大手企業に就職します。しかし、安定を求めたはずの会社員生活では、あまりの激務から徐々に心身に不調が現れ始めました。

 「過呼吸になったり、ひどい肌荒れがなかなか治らなかったり。イライラする感情が抑えられなくて、帰宅した後にスマホを部屋に放り投げ、訳もなく泣く……、なんてこともよくありました。それでも次の日は、栄養ドリンクを流し込んで会社に行く。むしろ出勤できてしまったから、自分が心も体もまいっていると気づけなかったんです」

 土日は、疲れてひたすら寝ているだけ。好きだった絵を描く時間も、気力も残っていない日々……。そんな竹内さんの意識が変わったのは、祖父が亡くなったときでした。

 葬儀のあと、「もしも今私が死んでしまったら、『もっと絵が描きたかった』とお墓の中で悔やむはず」と考えた竹内さんは、しばらくして会社に辞表を提出。その後、28歳のときに会社員時代にためたお金を使って美術を学ぶために大好きなイギリスへ留学します。漫画家への転身に向け、新たにスタートを切ったかのように思えたものの、現実はそう簡単にはうまくいきませんでした。

 イギリスから帰国し、漫画家として活動を始めていたある日、竹内さんは「突然体が動かず、朝になっても起き上がれず、部屋のカーテンすら開けられなくなってしまったんです」

 心と体のバランスが崩れてしまったとき、どうしようもなく深く悩み、もがいたという竹内さん。彼女をそこまで追い詰めてしまった理由と、少しずつ見つけていった「自分との向き合い方」を聞きました。