「洋服を買いに行くのが面倒」「オシャレしたいけど悪目立ちは嫌」「コスパ最優先」――こんなdoors世代の本音を基に“超おしゃれ”じゃなくてもきちんと感を表現でき、個性を生かせる仕事服の選び方・着こなし方を専門家に徹底取材!

「きちんとして見える」「信頼される」は仕事服で外せないポイントです。でも、その上で自分の個性も上手に取り入れることができたら、もっと前向きに仕事に臨めると思いませんか? 好感度が大切なアナウンサーでありながら、自分らしいスタイルで「おしゃれ番長」の異名も取る古谷有美さんに、そのコーディネートのコツを聞きました。

ピンク色のブラウスが「よろい」だった

 小さなリボンが付いたベビーピンクのシフォンブラウスに、主張しない黒のスカート。新人のアナウンサーとして初めてテレビ出演する仕事を担当した日、用意された衣装のことを古谷さんは今でも鮮明に覚えています。

 「ある種のカルチャーショックでした。子どもの頃って、『女の子はピンク、男の子はブルー』みたいなステレオタイプが強かったじゃないですか。私は『好きな色を着ればいいじゃない』って思っていた変わり者タイプだったので、大人になってからもピンクにはどこか苦手意識があって。これまでの人生では無縁だった服に仕事でほぼ初めて袖を通すことになり、『あ、女子アナに求められるのってこういう感じなのかなあ?』って当時は感じました

 近年は多様になってきた印象もありますが、女性アナウンサーの「仕事服」といえば、淡い色味のアンサンブルや、控えめでエレガントな内巻きワンカールの髪形など、「ザ・コンサバ」のスタイルが思い浮かびます。古谷さんが入社直後に配属されたニュース番組では当時、視聴者の好感度を意識した装いのコンセプトが明確に設けられていたといいます。

 「彼氏のお母様に挨拶に行ったときに、好感を持たれるようなスタイルで――。番組側から担当スタイリストに、そう伝えられていると聞いたことがあります。それが嫌だということはありませんでしたが、私自身はそういう視点で服を選んだり買い物をしたりしたことが全くなかったので、戸惑ったのは事実です」

「両親ともに服飾関係の仕事をしていたので、幼少期から『着たいものは自分で選ぶ』ことが当たり前になっていました」(古谷さん)
「両親ともに服飾関係の仕事をしていたので、幼少期から『着たいものは自分で選ぶ』ことが当たり前になっていました」(古谷さん)