「妊娠すると転職は厳しい」「子育てはお金がかかる」「ワンオペ育児がこわい」こんなネガティブ情報が脳に刻まれていませんか。でも、働き方も女性のキャリアの築き方も大きく変わった今、必要なのは令和時代の「仕事×結婚×出産」のアップデート。新常識を探ります!

結婚、妊娠、出産といったライフイベントは、マネープランにも大きく影響する。いつまでに、いくら、どうやって準備すればいいのか? 社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの佐藤麻衣子さんに聞いた。

「共働き継続」前提なのに、理解や支援は不十分

 20~30代女性の多くがまず直面する人生の一大イベント――結婚、妊娠、出産。ただ「子どもを産み育てる」ことにチャレンジしたいだけなのに、なぜこんなに不安なのだろう。佐藤さんは、次のように説明する。

 「結婚・妊娠をきっかけに女性が仕事を辞めたり、働き方を緩やかにしたりすることが当たり前とされていた時代もありましたが、今は価値観が変わりました。マネーの面から見れば、パートナー一人の稼ぎに頼っていては、老後の資金や、子どもを産み育てる場合の将来の進学費用のやりくりにも苦労する現実があります

 「ただ、『共働き継続』が前提にも関わらず、職場の理解・支援が不十分だったり、パートナーが『家事や育児は自分の仕事ではない』という態度だったり。公的制度は整ってきても、実際に置かれる環境は個人差が大きいので、『将来、自分はどうなるのだろうか』と不安に思うのは無理もありません」

 特に、将来のお金について考えようとすると、気が重くなる人は多いだろう。だがそれは、「考えるための道しるべ」がないから。どんな結婚をして、どんな家族をつくりたいのか? あいまいになってしまいがちなビジョンは、実は「お金」という明確な指標を与えることで、整理しやすくなる。

 「自分の外にある答えを追うのではなく、『私はこうしたい』という思いを軸に、マネープランを立てるのが先決です。それが手元にあれば、パートナーと将来についての考え方や価値観のすり合わせをする有効な材料になります。転職などキャリアチェンジのタイミングについても、感情に任せるのではなく論理立てて考えられるようになるでしょう」

 働き方や生き方、お金のかけどころは多様化している。たくさんの選択肢のはざまで、いつまでも「結局、私はどうしたいんだっけ?」と右往左往し続けるのは嫌だ。では、具体的にどうすればいいのか。

 2ページ目以降で、自分なりのビジョンを明確にする上で押さえておきたい「新事実」を発表する。また、直接書き込んでいくだけでモヤモヤが解消する、佐藤さん特製のワークシートもダウンロード可能だ。