モリチの失敗談から学ぶ 新人期間のルール

 営業としてトップを走り続けてきた森本さんも、新人時代は失敗やクライアントから叱責されたこともあったそうですが、失敗から学び、気づきを得ることで大きな成長につながったといいます。ルーティンでは自分に3つのルールを課し、「デキる新人」をアピールして、信頼してもらえるよう努めていたそう。

1.目標は必ず達成できる!勇気をもって「宣言」しよう!

 入社前日から、「早く仕事がしたい!」とワクワクが止まらなかったという森本さん。入社式当日は、真っ黄色のスーツを着て挑んだそうです。

 「新人挨拶で『全社員の中で1番になる』と宣言しました。同期で1番ではなく、全社員の中でトップになる、と(笑)。ハードルは高いけど、『有言実行』です。自分にプレッシャーをかけながらも、言ったことは絶対にできると信じていたんです。ここから、仕事スイッチが一気に入りましたね。原色のスーツで全社員の前で宣言した以上、やるしかないですから(笑)」

 「1番になる」ために、森本さんが実践していたのは「朝一番に出社する」、「フロア全員の机を拭く」「人がやりたがらない仕事はすべて自分が引き受ける」ことの3つだそう。新人のうちは任せてもらえる仕事が限られているため、「今、自分ができること」に積極的に取り組んだそうです。

 「コピー取りや会議の議事録、飲み会の幹事など、皆がやりたがらない面倒なことに自ら手を挙げてやっていました。そして、引き受けたからには自分なりにプラスワンの工夫を心掛けていましたね。例えば、コピーを頼まれたら、用途に合わせて2in1にするなど、読みやすさを考えてプリント。『お、この新人デキるな』と思ってもらえるように努めていました」 

 「大きな仕事をしたい」、「早くやりたい仕事を任せてほしい」と焦る前に、まずは「自分が貢献できることは何か」を考え、それをとことんやり抜くことが大切だと森本さんは語ります。

2.失敗したら、その日のうちに即・リカバーのための行動を!

 1年目にして営業成績1位を獲得した森本さんですが、実は「やらかした」ことも。それは、入社から2か月たち、先輩からお客様を引き継ぐことになったときのこと。その会社は東京郊外にあり、駅から遠く、オフィスも地味。正直、テンションはダダ下がりだったそうです。

 「面倒だな」と思いながらも、その会社の社長と専務と和やかな雰囲気で面談を終えました。しかし、帰社してすぐに専務から電話があり、「あなた、うちの会社をなめてるでしょ?本気になれないなら担当いただかなくて結構」とピシャリ。クライアントからの厳しい言葉に、森本さんはトイレに駆け込み、悔し泣きしたそうです。この経験から、大切なことに気づいたといいます。

 「お客様の期待に応えられなかったことが悔しくて……。自分自身が企業に対して優劣を付けていたことに気づいたんです。態度に出さなくても自分の心持ちが相手に伝わってしまったと猛反省しました。どこかで『新人だから』という甘えもありました。担当を降りる方法もありましたが、このまま終わるのはあまりに悔しい。信頼を回復するために、その日のうちに所信表明を手紙にしたため、翌日その会社へ持参。頭を下げ、『私が責任をもってやり通します』と直接伝えました。半年後、採用が成功すると、感謝の言葉とともに『これからも応援したい』と言っていただけたんです」

 「新人だから」という甘えを捨て、「プロフェッショナル」という自覚を持つ。そして、自分にとって耳が痛い言葉を受け止めることで、ビジネスパーソンとしての伸びしろが決まる。「クレームやお叱りの言葉は自分への期待、成長するチャンス」、そう森本さんは実感したそうです。

3.悩んだり迷ったりしたら、とにかく誰かに話を聞いてもらう

 仕事や生き方に悩みが生じたときは、「とにかく人に話を聞いてもらっていました」と森本さん。

 信頼できる誰かに「壁打ちの壁」になってもらい、ただ話を聞いてもらうだけで、思考が整理され、自分が大切にしたい本質が見え、適切な選択ができるようになったといいます。

 「選択肢が多様な今、迷うことがあって当然。でも、自分一人で考えていても、無限ループに陥るだけ。正解を求めるのではなく、ただ誰かに話を聞いてもらうだけでいいのです。家族や彼氏・彼女ではなく、主観が入らない先輩や上司、知人など身内以外の人に話を聞いてもらうのがおすすめです」