絶対的だった「正社員」ブランドに陰り? 終身雇用の時代は終わり、転職は当たり前、会社に属さない働き方も増えています。それでも、大多数は正社員を目指す現在。その意味は? 正社員の立場を最大限に利用する方法は? さまざまな働き方の実践者や専門家と一緒に考えましょう。

正社員のコスパ

バブル崩壊後の1990年代、就職氷河期を戦ってリクルートに就職。その後転職、2度の起業――とパワフルにキャリアを切り開いてきたキッズライン社長の経沢香保子さん。現在は日本にベビーシッター文化を広めるべく奮闘しています。経沢さんは働き方の「コスパ」って考えること、ありますか? doors世代の先輩として、話を聞いてみました。

「スーパーサラリーマン」を目指した新入社員時代

 新卒でリクルートに入社した当時、経沢さんはある目標を持っていました。「スーパーサラリーマンになる」。20代~30代のdoors世代からは、あまり聞かなくなった言葉です。

 「一生懸命働けば、必ずいいことがあるって思っていました」

 実際、その前のめりの姿勢は「結果」として花開きました。入社直後の営業研修では、がむしゃらに「1日100件の飛び込み営業を自分に課した」と経沢さん。その結果、1週間で550枚以上の名刺を集め、周囲を驚かせたといいます。

 1日に100件の飛び込み……。それを聞いただけで「体育会系?」と尻込みをしてしまう読者も多いかもしれません。「何の意味があるんだろう、って思いますよね」。経沢さんはそう笑いつつも、「よかったのは、圧倒的な結果を出したことで周囲の『記憶』に残ったこと」なのだそう。

 「今でも社内で『経沢さんは“伝説の新人”だった』って言ってもらえることもあるらしいんです。たった一週間の出来事ですから、『コスパ』になぞらえるなら、すごくコスパのいい努力だったのかも

 その後、転職した楽天では、「楽天大学」など数々の新規事業の立ち上げに関わります。その経験を生かして2000年、26歳の若さで、女性に特化したマーケティング会社を起業。上場にこぎ着けるまで育て上げます。

 一方で、自ら創業したその会社の経営を退くことを余儀なくされる「どん底」も味わいました。それでも自分を信じ続けて前進した経沢さん。キッズライン(創業当時はカラーズ)という新しい会社を再び軌道に乗せるところまでたどり着けたのは「過去の自分自身が愚直に貯めてくれた『信頼』のおかげ」と語ります。

過去の自分自身が貯めてくれた「信頼」の上に、現在があると語る経沢さん