会社員でありながら、やりたいことに挑戦できる新規事業。多くの企業が新規事業を育てたいと願っている今、チャンスが眠っています。新規事業の成功ルールを、事例を交えて紹介します。

組織の中で新しい事業を立ち上げることはそんなに簡単なことではない。ゼロからアイデアを生み出し、それを形にして、価値のあるものに変え、経営陣を納得させる勇気も体力も気力も必要だ。今、注目の新規事業はどのようにして生まれ、育ってきたのか。編集部では、様々なフェーズで成長中の新規事業実例を取材。今回は、社内ベンチャー制度の狭き門をくぐり抜け、まさに生まれたての新規事業をリードする2人の女性チームに話を聞いた。

 2020年、ポーラ・オルビスホールディングスで、新しい事業を始める2人のチームが誕生した。事業内容は、「がんサバイバーが自分らしく生きられる商品・サービスの提供」。この事業を担当するのは、商品企画を10年以上担当してきた水田悠子さん(37歳)と、当時、人事でダイバーシティーを担当していた齋藤明子さん(51歳)だ。

ポーラ・オルビスホールディングス/新規事業1年目/社内ベンチャーに応募/数々のピンチを乗り越え/2020年にスタート
左が水田悠子さん、右が齋藤明子さん。3月に経営審議が通ったばかりで、まさに生まれたて。「名前もまだありません」

 同社では、2016年から社内ベンチャー制度が復活し、2018年に第1期の新事業が生まれている。水田さんと齋藤さんは、復帰後の第2期。国内外の50件を超える事業アイデアの中から、書類審査、事業プランのプレゼンテーション、事業計画作成プロジェクト期間を経て、ほとんどのアイデアが振るい落とされる中、厳しい社内審査を通過した。

 キャリアも畑違い、10歳以上の年齢差がある2人が、どうやって組織の中で出会い、アイデアを形にしてきたのか。「社内プレゼンの度重なるピンチで一度は頓挫」しかけ、二転三転どころか三転四転しながらどうやって事業を立ち上げたのか。2人のエピソードとともにプロセスを追いながら、その秘訣を探る。

<世代と分野が違う2人チームが新規事業を立ち上げられた秘訣>1.2人が強い使命感を抱いている/2.異なる視点の価値観を共有する/3.ビジョンをとことん擦り合わせる/4.最後まで諦めない/5.社内のサポーターを増やす
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