1日のふとした時間を生かして、効果的に休憩を取るにはどうしたらいいのでしょうか。第1回~第2回記事で学んだマインドフルネスを、会社ぐるみで後押ししているのが、クラウド名刺管理サービス「Sansan」や名刺アプリ「Eight」を開発・提供するSansan(東京都渋谷区)。全社員に向けて実施されたマインドフルネスのセミナーに参加し、その後も毎日、マインドフルネスを実施している社員に取材しました。

全社員向けに3~4時間のセミナーを実施

 Sansanがマインドフルネスに着目した理由は、社長の寺田親弘さんが自らマインドフルネスを学び、「これを全社員とシェアしたい」と考えたからだと、人事部副部長・我妻小夜子さんは言います。「Sansanの社内制度は、福利厚生という観点ではなく、スピード感ある事業成長のために社員一人ひとりの生産性向上を後押しする目的で設計されています。現在、コミュニケーション促進やスキルアップなどの観点から約30の制度を運用しており、マインドフルネスもその一つとして導入が決まりました。寺田は世界のベストプラクティスを積極的に学んでいます。マインドフルネスを学んでからは、怒りでカッとなることが減るなど、マインドフルネスを通じた感情のコントロールが、仕事のパフォーマンス向上に寄与することを体験したそうです」

「社長の寺田親弘が自ら学び、効果を感じたマインドフルネスが社員の生産性向上にも資すると考え、全社員対象にセミナーを実施しました」(Sansan人事部副部長・我妻小夜子さん)
「社長の寺田親弘が自ら学び、効果を感じたマインドフルネスが社員の生産性向上にも資すると考え、全社員対象にセミナーを実施しました」(Sansan人事部副部長・我妻小夜子さん)

 社長の発案を受け、社内制度を設計・運用する人事部のEmployee Success(エンプロイーサクセス)チームがセミナーを企画。2017年9月、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表・荻野淳也さんを外部講師として招き、役職者全員55人に対して、2日間、9時30分から18時までのセミナーを実施し、グーグルでも採用されるマインドフルネスの手法「Search Inside Yourself」について学ぶ機会が設けられました。

2018年1月、全社員を対象に行ったマインドフルネスのセミナー
2018年1月、全社員を対象に行ったマインドフルネスのセミナー

 そのセミナーを通し、マインドフルネスが生産性向上にもたらす効果に手応えを感じたため、2018年1月には、当時の全社員約350人を対象に丸1日のセミナーのエッセンスを凝縮させた3~4時間のセミナーを実施。その後、4カ月間、1カ月に1度、終業後の18時30分から30~40分、希望者が会議室に集まって瞑想(めいそう)する時間が設けられました。会場にはアロマがたかれ、参加者は瞑想(めいそう)後にハーブティを飲んで1日を締めくくるという充実した時間だったそう。

 「セミナー4カ月後にもなるとマインドフルネスを主体的に取り入れる社員は、社外のコミュニティに参加するなど、自主的に活動を始めていました。そのため、会社としての取り組みはそこで一旦終了し、その後は、各社員の主体性に任せています」(我妻さん)