在宅勤務が続き、「働く」と「休む」の線引きやリフレッシュが必要な今こそうまく休みを取り入れたい。ワーケーション、ブリージャー、サバティカル休暇など、企業の優れた事例をご紹介!

長めの休暇を取るのとはまた違う、新しい働き方の実例。リラックスできる場所で、オンとオフをリズミカルに切り替えながら働くワークスタイルを実現しているのが、2019年に「働きがいのある会社ランキング」(GPTW)で1位に選ばれたセールスフォース・ドットコム(東京都千代田区)。2015年10月に和歌山県白浜町に開所したオフィス「Salesforce Village」について取材しました。(※取材は2020年3月19日に実施)

2015年秋に和歌山県白浜町にオープンした新オフィス

 休暇を兼ねてリモートワークする「ワーケーション」という言葉をご存じでしょうか。これは2000年代に米国で生まれた言葉で、一般的に「リゾートなどの環境のよい場所で、休暇を兼ねてリモートワークを行う労働形態」を指しています。

 米サンフランシスコに本社を置く、顧客情報管理(CRM)大手セールスフォース・ドットコムの日本法人では、2015年10月に和歌山県白浜町にサテライトオフィス「Salesforce Village」を開所。常時約10人の社員が毎日、青い空と海、白い砂浜を見ながら働いています。

セールスフォース・ドットコムの和歌山県白浜町サテライトオフィス「Salesforce Village」
セールスフォース・ドットコムの和歌山県白浜町サテライトオフィス「Salesforce Village」

 この新しい働き方を継続的に可能にするプロジェクトが始まったのは2015年。ビジネスの東京一極集中という社内の課題を解決するとともに、日本の地方創生を推進するために、同社が総務省「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」にプロジェクトを提案し、選出されたのがきっかけでした。

 専務執行役員 ビジネスオペレーション担当・伊藤孝さんによると、複数の候補地から、白浜町を選んだ理由は以下の4つ。

 1つ目が、自治体担当者が白浜にオフィスを誘致するため、何度も東京オフィスを訪れるなど、自治体側の熱意が最も伝わってきたこと。2つ目が、現地にもともと他社の保養所だった利用可能な建物があったこと。3つ目が、台風の通り道でもあることから、災害対応として充実したWi-Fiネットワークが整備されていたこと。4つ目が、羽田空港から南紀白浜空港まで75分、そこからオフィスまで10分で到着できるという交通の便のよさでした。

 以前から地方活性に興味を持っていたセールスディベロップメント本部・営業戦略室 室長、吉野隆生さんをリーダーとし、プロジェクトは順調に滑り出します。

白浜オフィスで働く社員と家族たち。右端が社員から「村長」という呼び名で愛されるセールスディベロップメント本部・営業戦略室 室長、吉野隆生さん。中央の女性が、現在は東京オフィスでプロダクトマーケティングを担う秋津望歩さん
白浜オフィスで働く社員と家族たち。右端が社員から「村長」という呼び名で愛されるセールスディベロップメント本部・営業戦略室 室長、吉野隆生さん。中央の女性が、現在は東京オフィスでプロダクトマーケティングを担う秋津望歩さん