在宅勤務が続き、「働く」と「休む」の線引きやリフレッシュが必要な今こそうまく休みを取り入れたい。ワーケーション、ブリージャー、サバティカル休暇など、企業の優れた事例をご紹介!

長いキャリアでいかに上手に休止符を打ち、充実した時間を過ごすことができるかも、スキルの1つ。会社に、休職をサポートしてくれる制度があるのなら、有効に活用したいもの。今回は「フレキシブルキャリア休職制度」を活用したソニーの社員に取材しました。(※取材は、2020年3月17日に実施)

最長2~5年休職できる制度

 ソニーにはキャリアを継続するために、長期間休職できる制度があります。2015年4月に導入された「フレキシブルキャリア休職制度」です。

 制度が整備される前でも、キャリアにプラスになる専門知識を得る留学などのため、個別に休職を願い出て受理されるケースもありました。「しかし、今後はさらに多様性のあるキャリアを支援したいという考えから、この制度が生まれました」(ソニーコーポレートサービス・人事センター・竹田恭子さん)。

 制度を利用できるのは2パターンで、1つ目は海外赴任する配偶者に同行するために休職するケース(最長5年)。2つ目は仕事に生かせる専門スキルを身に付けるために国内外に私費で修学するケース(最長2年)です。

 休職期間中に給与は出ませんが、社会保険料は会社が負担します。また、私費修学の場合は、修学にかかる初期費用について、最大50万円まで会社が実費を負担します。

 これまで配偶者同行のパターンでは累計50人、私費修学のパターンでは累計19人がこの制度を利用しています。

 このほかにも「公募留学」という制度を活用して、海外の大学院に留学することも可能です。

 「創業以来、自分のキャリアは自分で作るものという考え方が浸透しています」(竹田さん)。上司の許可なく異動希望を出せる「社内募集」や、継続的に高評価を受ける社員に会社がフリーエージェント(FA)権を付与し、異動をオファーされた社員が自らの意志で異動できる「FA制度」といった「チャレンジ促進制度」と呼ばれる人事制度も、フレキシブルキャリア休職制度同様、創業期からある「自分のキャリアを自分で作る」という精神に裏打ちされていると竹田さんは話します。

ソニーのフレキシブルキャリア休職制度と出産・育児休業を合わせて2年半休職した、知的財産センター・特許3部の早川いちごさん
ソニーのフレキシブルキャリア休職制度と出産・育児休業を合わせて2年半休職した、知的財産センター・特許3部の早川いちごさん