「朝、起きたときから既に疲れている」「最近、仕事でもプライベートでも何となくやる気が出ない」――。そんなあなたはもしかしたら、「脳」が疲れているのかもしれません。精神科医で禅僧の川野泰周さんに、現代人が陥りがちな「脳の疲れ」をリフレッシュさせるノウハウを聞きました。上下編でお送りします。

(上)「脳疲れ」生むマルチタスク 20~30代の対処法は ←今回はここ
(下)1分からできる休息法 マインドフルネス瞑想

疲れには種類がある

 働き方改革が進んで、職場の長時間労働は改善されつつある。仕事や家事を効率的に進めるためのツールも増えている。それなのに、慢性的な疲れが取れない――。そんなふうに感じている読者は多いのではないでしょうか。

 「激しい運動をしたわけでもないのに、何となく体が重いと感じるのは、体ではなく脳が疲れている可能性が高いです」と語るのは、精神科医であり禅僧でもある川野泰周さん。大学で精神医学を学び、臨床医を経験した後に禅修行を経て実家の禅寺を継承。現在は寺務の傍ら、クリニックなどで診療に携わっています。

川野泰周さん
川野泰周さん
臨済宗建長寺派林香寺住職。精神科・心療内科医。慶応義塾大学医学部卒業後、精神科医として診療に従事し、2011年から禅修行。14年末から、横浜にある臨済宗建長寺派林香寺の第19代住職に。現在は、寺務の傍ら、クリニックなどで精神科診療にも当たっている。『ずぼら瞑想』(幻冬舎)など著書多数。

 脳が疲れるとは、どういうことなのでしょうか。川野さんは、疲れには3つの種類があると説明します。

 「デスクワークが中心という読者は多いと思いますが、一日中パソコンの前に座って仕事をしている場合、体はあまり疲れませんよね。もちろん、目が痛くなったり、首や肩が凝ったりすることはあると思いますが、『スポーツをした後に節々が痛む』といったタイプの疲れとは質が異なるはずです」

 心身の不調を訴え、川野さんのクリニックを訪れる患者の中でも非常に目立つのが、上図で示した(2)と(3)に当たる「脳の疲れ」だといいます。さらに具体的に言えば、悩みやストレスなどネガティブな感情によって引き起こされる「心の疲れ」と、複数の作業や思考を同時に行うことを強いられて脳に負担がかかる「マルチタスクによる疲れ」です。

こうした症状は、現代人が例外なくさらされている「マルチタスクによる疲れ」によって引き起こされることが多いといいます。2ページ目から、対処法などを詳しく説明します!
こうした症状は、現代人が例外なくさらされている「マルチタスクによる疲れ」によって引き起こされることが多いといいます。2ページ目から、対処法などを詳しく説明します!