集中力を持続させるためには、小休憩の取り方にコツがある

 昼休み以外の休憩時間に何をしているか聞いたところ、第1位は「トイレに行く」、第2位は「お茶やコーヒーを飲む」、第3位は「おやつを食べる」、第4位は「食事」、第5位は「雑談」となりました。仕事中は、トイレに行くことと軽食時間以外、めいっぱいの時間を仕事に費やしていることが分かります。当たり前のことかもしれませんが、皆さん、寸暇を惜しんで仕事に励んでいるのですね。

 ここで、集中を切らさずに小休憩をうまく取るコツを医学博士で脳内科医の加藤俊徳さんに聞きました。「適切な休憩の回数や長さは、その人の脳や体質のタイプによって異なるということを大前提としつつも、一般的にはこうアドバイスできます」(加藤さん)

 加藤さんが、休憩の回数や長さよりも重視するのが、休憩のタイミングや長さを自分で選択できるかどうかでした。そして、集中を切らさずに休憩を取るポイントが3つあると言います。それは「自分の好きな飲み物や食べ物を手元に置いておくこと」「トイレに行きたいときに、すぐ行ける状況に身を置くこと」「簡単な運動ができる環境を用意すること」です。

 飲み物やおやつなどは、実際に口に入れなくても、必要なときにすぐ手に取れることが重要だそうです。「手元に置いておくことで、『喉が渇いたな』『何を飲もうか』と考えて作業を中断させてしまうことがなくなり、思考系の脳を継続的に使える状況をつくることができます。また、適度に糖分やグルコースを摂取することは、脳細胞を活動させるために不可欠です」(加藤さん)

 また、腎臓では一定時間に尿がつくられるので、膀胱(ぼうこう)に尿がたまれば、膀胱圧が脳に伝えられ、脳は排せつの行動を取るための刺激を作り出します。つまりどんなに集中していても尿はつくられているということ。トイレを我慢していると集中の度合いが下がります。

 3つ目の運動も大事です。長時間同じ姿勢を続けると体の血液循環が偏ります。姿勢を変えることは、体の血液循環だけでなく、脳の血液循環を高めることにつながります。「体を伸ばすといった簡単な運動をすることで、パソコン画面を見たり、資料を読んだりと、同じ行動を続けているのとは違う脳の使い方ができます」(加藤さん)

 「また、1日に複数の課題をこなす必要がある人は、例えば5分以内の休憩を6回取り入れて頭を切り替えながら次々に課題に取り組むようにすることで、脳の効率ややる気がアップします」(加藤さん)