「コロナショック」によって、日本人の働き方は大きく変わりつつあります。そして働き方と密接に関わっているのが「住むところ」です。「家賃や地価の高い都心に住むメリットが薄れていく」と、社会デザイン研究家の三浦展さんは話します。自分の趣味や働き方に合った街の見つけ方について聞きました。

満員電車通勤には戻れない?

 新型コロナウイルスによって私たちの生活はガラリと変わり、自宅にいる時間が圧倒的に長くなりました。コロナウイルスの影響が今後終息に向かっていくとしても、一度定着したテレワークやオンラインを活用した会議のあり方などは後戻りできないでしょう。コロナ以前と以後では働き方が大きく変わることは間違いありません。

 そして、大きく変化するのは「住む場所、暮らす場所」も同様です。

 「一度在宅勤務を経験した人の多くは、毎日満員電車に揺られて通勤する生活に戻りたいとは思わないはずです。私がサラリーマンをしていたのは20年も前のことですが、フリーランスになった今は満員電車が本当に嫌いで、出掛けるときは多少回り道をしてでも混雑する電車は避けるほど。通勤しなくても働けるということが周知された今となっては、在宅勤務できるかどうかが会社選びの一つの基準になるでしょうし、もともと都心住まいだった人の中には在宅勤務できるならと郊外へ転出する人が出てくるでしょう」

 こう語るのは、ベストセラー『下流社会』や『首都圏大予測』(いずれも光文社新書)などの著者で社会デザイン研究家の三浦展(あつし)さん。三浦さんは「子育て世帯を中心に、都心から人口流出が進む」とみています。

 「東京23区の中で、人口比率におけるコロナウイルスの感染者数が多いのは港区、新宿区、渋谷区、世田谷区などの都心の人気エリアです。地価も非常に高い地域ですが、子どもたちの感染リスクを考えて、郊外に転出する世帯がこれから出てくるでしょう。

 先ほど言った通り、新型コロナウイルスによる感染が終息したとしても、在宅勤務ができる会社であれば、家賃も高い都心に住むメリットは小さくなります。自然が多いところで子育てしたいと望んでいた親からすれば、むしろ渡りに船でしょう。コロナ前と後では、『どこで暮らすか』という人々の価値観は大きく変わると考えています」

 doors読者の中にも通勤時間短縮のために、多少家賃は高くとも都心に住んでいるという人は少なくないのではないでしょうか。郊外であれば家賃が安いことはもちろん、部屋も広めの物件が多いでしょう。にぎやかな繁華街はないかもしれませんが、静かに暮らしたい人には向いているはずです。

 しかし、「郊外」と一言でくくっても、首都圏だけでもその範囲は非常に広く、どの街が自分に合っているのか分からないもの。三浦さんに、首都圏のおすすめの駅・街や自分に合ったエリアの見つけ方について聞きました。