新型コロナウイルス感染症の世界的大流行とともに、一気に現実のものとなった「テレワーク」。新常態(ニューノーマル)下での新たな働き方を受け入れ、一歩先へ進むために知っておくべきこととは? 日経パソコンが総力編集した書籍『テレワーク実践ガイド 完全版』からの抜粋で3回にわたりお届けします。

第1回・新常態に向けて テレワークを巡る問題解決の糸口は? ←今回はココ
第2回・相手や用途によってサービス使い分け オンライン会議
第3回・通信が遅い・機器が使えない…テレワークトラブル解決法

テレワークで生じる「困った」を解決したい

 会社から離れて仕事をするテレワーク。一時的な出張と違って、長期間の自宅作業となると、オフィスに居たときには考えもしなかった問題が出てくるものだ。

自宅と会社のオフィスでは環境が大きく異なる。テレワークでは、職場に居るときとは違う悩みが出てきて当然だ。しかし、最新のWebサービスなどを利用すれば解決できることは多い
自宅と会社のオフィスでは環境が大きく異なる。テレワークでは、職場に居るときとは違う悩みが出てきて当然だ。しかし、最新のWebサービスなどを利用すれば解決できることは多い

 テレワークの普及による社内のコミュニケーション不足が問題になり、オンライン会議やチャットサービスが進化したように、ここにきてテレワークに伴うさまざまな問題を解決するための新しいサービスやソフトウエアが多数登場している。

大企業だけでなく中小企業も続々導入

 東京商工会議所が2020年6月に発表した調査結果によれば、新たにテレワークを導入した都内の中小企業は、約3カ月前から41ポイント以上も増えている。その半数以上が緊急事態宣言発令後の導入であり、影響の大きさがうかがえる。

東京商工会議所が2020年5月29日〜6月5日に実施した「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」によれば、都内でテレワークを導入した中小企業は約3カ月前の調査から41ポイント以上上昇。その半数以上は緊急事態宣言後の導入だ
東京商工会議所が2020年5月29日〜6月5日に実施した「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」によれば、都内でテレワークを導入した中小企業は約3カ月前の調査から41ポイント以上上昇。その半数以上は緊急事態宣言後の導入だ

 経済産業省が2020年5月に発表したアンケート調査では、全国的に見ても3月から4月のたった1カ月間で、正社員のテレワーク実施率が13.2%から27.9%に跳ね上がっている。大企業ではより積極的にテレワークを取り入れており、緊急事態宣言解除後も「週の半分はテレワーク」といった働き方は珍しくなくなった。

 以前から働き方改革の一つとして注目されていたテレワークだが、導入に二の足を踏んでいた企業が緊急事態宣言に背中を押された形だ。ただし、その後も継続する企業が多いのは、感染症対策だけが理由ではない。テレワークにはさまざまなメリットがあることが分かってきたからだ。意図せず向き合った結果とはいえ、今や多くの企業や従業員が、ICTを活用したテレワークの継続に前向きになっていると言ってよいだろう。