コロナ禍で生き方や働き方が問われる今、必要なのは多様性。ジェンダーフラットな実例から、組織や個人の多様性の在り方を探る企画。日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト発足記念特集。
あなたは、日常でジェンダーギャップを感じることがどれくらいあるだろうか。働き方や働くことの意味さえ問われたコロナ禍で、これから自分はどう生きたいのか、どう働きたいのか。多様であることの必要性を強く感じた人も少なくないのでは――。

(上)読者1500人の声「ジェンダーギャップはまだある!」 ←今回はここ
(下)コロナ禍で感じた多様性の大切さ 私たちにできること

 日経doors、日経ARIA、日経DUAL3媒体を含む日経xwomanでは、創刊1周年を迎え、日本で働く女性たちの声を、政治・企業・地域などへ広く伝えるため、「ジェンダーギャップに関するアンケート」を実施した。その回答数は1500を超え(うち、男性の回答者も約3割)、実体験に基づくリアルなエピソードだけでなく、個人それぞれが取り組んでいるアクション、ジェンダーギャップを改善するために必要なこと、そして、社会や企業への提言まで、幅広い声が集まった。

 中でも、doors世代で特徴的だったのは、「社会に出るまではジェンダーギャップを感じなかった」という声だ。

大学までは男女平等だったのに…

◆「社会に出るまでは、男女格差なんて自分に関係ないと思っていた。でも、仕事を始めると実際、職場にはある。社会に出て一番悲しかったのは、自覚なく、仕組みの多くが男性優位に設計されていること」(33歳、正社員、主任/係長クラス、独身)

◆「男性と同じ総合職でも、結婚や出産で女性は常にキャリア分断のリスクにさらされるし、社会や地域からのプレッシャーも強まる。就職するときは、役員が男性ばかりの会社ではなく、できる限り女性幹部が多い会社を選んだほうがいいと思った」(29歳、正社員、一般社員、既婚・子どもなし)

 意気揚々と社会に出た途端、夢や目標を前にしてガラスの天井にぶつかる20~30代の女性が、まだいる。

社会に出て初めて気づく、ジェンダーギャップ

 一橋大学大学院教授で、ジェンダー研究を専門としている佐藤文香さんによると、「大学生の間では、ジェンダーについての理解は確実に変化がみられる」という。「今の学生たちはジェンダーを身近なテーマと捉え、男女関係なく高い関心を持ち、活発に議論しています。ただ、彼女ら・彼らにとってのジェンダーの問題とはセクシャルマイノリティーの抱える問題で、男女格差については昔の問題と認識されることが多い

 でも、残念ながら、いまだに女子学生は社会に出た後で壁にぶつかることも多いんです。大学でジェンダーを教えて15年になりますが、卒業生からは『男女格差について大学で学んだことが、実社会の問題だったと痛感した』という声が今でもよく届きます

 実は、学生時代も男女平等だったかというとそう言い切れないという。「地方だとまだ『女子はそんなに勉強しなくていい』という風潮が残っています。男子学生がリードし女子学生はサポート役などの性別役割が維持されていることもある。でも、分かりやすい不利益を感じないかぎりそれらを差別経験としては認識しませんし、無意識に予防線を張って傷付かないようにすることもあるんです。だから、社会に出ていかんともしがたい理不尽さに直面して初めて、男女格差を自分事として意識するのだと思います」

 編集部で実施したアンケートで集まった声は、どれも切実で、「変えていきたい」という強い思いが込められていた。その一部を紹介したい。あなたと同じような経験をした人、同じような考えを持つ人が見つかるはず。

ジェンダーギャップアンケートには、1500人以上の読者からの熱い言葉が集まった。具体的な内容は2ページから!
ジェンダーギャップアンケートには、1500人以上の読者からの熱い言葉が集まった。具体的な内容は2ページから!

【アンケート概要】
日経xwoman ジェンダーギャップに関するアンケート
2020年3月26日~実施(現在も募集中)、2020年5月20日時点で、1613人が回答。回答者の70.3%が女性、29.1%が男性。うち、20~30代は569人。正社員が63.2%。回答はこちらから↓
「ジェンダーギャップ」に関するアンケート