コロナ禍で生き方や働き方が問われる今、必要なのは多様性。ジェンダーフラットな実例から、組織や個人の多様性の在り方を探る企画。日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト発足記念特集。

ジェンダーのステレオタイプをこえてゆけ

共働きでお互いバリバリ仕事をしている夫婦でも、子どもが生まれると、「男は仕事を、女は家庭を」という暗黙の了解で、妻のほうが仕事をセーブしたり、キャリアを諦めたりするケースは少なくない。でも中には、そんな偏りのある夫婦バランスにモヤモヤを抱えたままの人もいるのでは――。

 独身のdoors世代からも、こんな声が届いている。(日経xwoman ジェンダーギャップアンケートより)

◆企業の育休、産休、時短勤務などはありがたいが、それは「女性」のための対策と決めつけないでほしい。共働きが多い今、家事と育児を女性だけが行うという考えはナンセンス。(26歳、正社員、一般社員、独身・子どもなし)

◆共働きになっても、基本的に女性が男性のキャリアに合わせる家庭が多い。例えば、男性の転勤に伴って女性が仕事を辞めるか、リモートワークに切り替えるなど。男性は、妻にキャリア中断のリスクを負わせる可能性がある、女性は無意識に夫に合わせていないか、気づくことが大事で、それを話し合える関係性をつくることが必要。(31歳、自営業、独身・子どもなし)

 もちろん、パートナーの仕事がきっかけで専業主婦になるのも、バリバリ働き続けるために家事や育児をアウトソースしたり、夫婦で協力して両立したりするのも、生き方・働き方の一つの選択肢だ。どちらが正解、というわけではない。キャリアや家庭のタイミングによっては、一度決めたスタイルがフィットしなくなったり、思い通りにならないことが起きたりすることだってあるだろう。

 でも、「これがふつう、当たり前だよね」と受け入れるのではなく、「これが、私たちのスタイルだよね」と夫婦それぞれが納得するためには、もしかすると、家庭での小さな違和感も率直に伝え合い、時にはぶつかることを覚悟で、とことん議論することも必要なのかもしれない。

 今回、紹介するのは、そんな議論を重ねてきた夫婦だ。ソニーに同期として入社し、結婚当初はお互いバリバリ働いていたという重松祐美さんと山中裕斗さん。

重松祐美さんと山中裕斗さん夫婦。出産、海外駐在、転職、復職、起業などを経て、いくつもの家庭内危機を経験し、衝突する中で「自分たちらしい夫婦バランスと働き方を見つけてきた」
重松祐美さんと山中裕斗さん夫婦。出産、海外駐在、転職、復職、起業などを経て、いくつもの家庭内危機を経験し、衝突する中で「自分たちらしい夫婦バランスと働き方を見つけてきた」

 「これは本当に自分がやりたいことなのか? 自分たちにとっての幸せなかたちなのか?」――社会に決められたジェンダーの役割にとらわれず、思考を止めずに常に違和感をぶつけ合い、夫婦で納得いく家族のスタイルを探し出せたのはなぜか。「血で血を洗うような衝突もあった(笑)」と振り返る二人の話から、その秘訣を探る。

二人が乗り越えた転機、そして生々しくて役に立つエピソードは2ページから
二人が乗り越えた転機、そして生々しくて役に立つエピソードは2ページから