「いつか転職するつもり」「目標は、転職市場で価値を上げること」――20~30代は、転職意欲が高い。その一方で、転職活動が一筋縄にいかないという人も少なくない。転職後に「思っていた仕事と違う」「なんか会社の雰囲気が合わない」……などの理由で、再び転職活動に繰り出す人も。なぜ、私たちの転職は、うまくいかないのか。成功と失敗の分かれ道は何なのか。「失敗例」に学ぶ!

「転職さえすれば何かが変わる」「天職に出合えるかもしれない」。転職を考えているとき、そんな期待を抱くことはないだろうか? しかし、その期待こそが大きな落とし穴。転職市場が大きく変わった今、自分の市場価値を見極め、後悔しない転職をするためのポイントを『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ)の著者で、Linkedln(リンクトイン)代表の村上臣さんに聞いた。

今こそ「転職」のアップデートが必要

 「現在、転職のルールは以前と比べ、大きく変わっています。旧来の転職のイメージにとらわれているのは、実は求職者のほう。『転職回数が多いと印象が悪い』『石の上にも三年』といった概念は、もう古い。1回の転職で劇的にキャリアを変えるのではなく、転職を繰り返して理想の働き方にアップデートするようになり、方法も通常の転職エージェントを使う方法からリファラル採用まで多様化しています。

 企業側の働き方もマインドセットも変化しつつあり、グローバル化やジョブ型などの欧米型雇用が進むでしょう。働く側こそ、今後の転職を『自己の市場価値最大化のための手段』と考えることが必要です」

 こう話すのは、リンクトイン日本代表で、転職や働き方について日々情報発信やアドバイスを行っている村上臣さん。コロナ禍の影響もあり、キャリアに関する相談が増える中で、村上さんは、学生、社会人問わず共通の悩みは「やりたいことが分からない」だと話す。

 「他にも、自分の業界がどうなるか分からない、管理職に抵抗がある、ステップアップができないなどの相談も多い。こうした悩みを持つ人のほとんどは、キャリアに対して受け身の場合が多く、会社がキャリアを与えてくれると無意識に思っているのです」

 こうした相談に対し、村上さんは必ず、その人が「何をしたいのか」を引き出すようにしているそうだ。それが明確でないまま転職活動をしても、失敗に終わるケースが多いという。

 「やりたいことが分からないと相談してくる人のほとんどは、自己分析が足りていない」と言う村上さんに、これからの転職市場で求められる人材になるためのポイントを聞いた。

村上さんが指摘する「転職に失敗する」人の共通点
20代、30代の転職を成功させるコツ
リファラル採用をかなえるには?