長いキャリア人生の中で逆境やピンチはつきもの。ただ、苦しい状況に押しつぶされることなく、それをチャンスととらえ、見事に挽回した女性たちがいます。そんな女性たちに、どのように自分を鼓舞し、モチベーションに変えて、行動に移すのか、具体的に教えてもらいました。

モデルやタレントも務めている、産婦人科医の丸田佳奈さん(40歳)。医学生時代にミス日本の「ネイチャー賞」を受賞し、現在はバラエティー番組に数多く出演、情報番組のコメンテーターとしても活躍している。2017年には女児を出産し、一児の母となった。そんな丸田さんだが、中学生の頃から摂食障害に悩み、一時は半年間で14キロも落ちてしまったこともあるそう。そして、医学部に入るまでに2浪、医学部時代も一留、一休を経て、医師になったのは28歳の時。摂食障害で体重の増減に苦しんだ時代をどうやって乗り越え、今の活躍に至るのか話を聞いた。

中学生の時、ダイエットに熱中

 丸田さんは中学生1年生の時、「痩せてかわいくなりたい」とダイエットを始めた。勉強にも習い事にも手を抜かないストイックな性格だった丸田さんは過剰に熱中してしまったそう。

 「普通だったら、痩せたいと思っても食欲に負けて食べてしまいますよね。でも、私は太ることを恐れすぎて、『食べること』自体が怖くなってしまったんです。当時、ゆでた野菜を何も付けずに食べていました。食卓では、母を心配させないように、母が見ていないところでお鍋に食べ物を戻したり、口の中でかむだけで飲み込まないで吐き出したり……。食事制限だけで、半年で14キロも落ちてしまって、生理が止まってしまったんです」

 そこから、産婦人科に通い、生理が戻るように治療を始めた。極端な食事制限は思春期の体に大きな影響があり、自然に生理が来るようになるまでに3年もかかったそう。

 「最終的に薬を使わずに自然に生理が来るようにするには体重を増やす必要がありますが、体重が増えるのが怖くて、すごく葛藤しました。そのイライラで今度は食べ過ぎてしまって、いきなり10キロ増えてしまったんです。また10キロ戻して、さらに5キロ増えて、また5キロ減らして……と体重の増減を何回も繰り返しました」

 産婦人科に通って、摂食障害と向き合った経験から、産婦人科医を目指すようになった丸田さん。しかし、最終的に医師になるまでには約10年の歳月がかかった。丸田さんの今の活躍の原点は摂食障害と向き合い、勉強に打ち込んだ思春期の経験にある。体重の増減に苦しみながらの医学部受験、授業についていけなくなった医学生時代の逆境をどうやって乗り越えて、今の活躍に至るのかを詳しくお伝えする。