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「このままでは潰れる」が発想転換のきっかけ
世界遺産としても知られる中尊寺や毛越寺のある平泉にほど近い岩手県一関市。広大な山々に囲まれたこの町で、今注目を集めている温浴施設がある。それが、創業約70年を迎えた「古戦場」だ。もともとは1951年に精肉店として開業し、時代に合わせて宴会場に事業転換、その後、温浴施設のある食事処(どころ)として地域で愛されてきた。
ところが2020年新型コロナウイルス感染症の拡大により、古戦場も他の飲食店や商業施設と同様、営業自粛に追い込まれてしまう。それまで売り上げの約8割を占めていた飲食事業は大きなダメージを受け、経営状況は一気に厳しくなった。
そこで立ち上がったのが、4代目社長の浅野裕美さんだ。会社の基幹事業をこれまでの飲食から温浴施設に変更、さらに以前から浴場に併設されていたサウナに力を入れ、プロモーションを始めるとSNSやメディアで話題となり、客数が増加。経営はⅤ字回復をみせ、今では九州や関東など全国各地から、古戦場のサウナを求めてやってくる人も少なくないという。
歴史を引き継ぎながら、大胆な事業方針の転換で倒産の危機を脱した浅野さんは、「『古い』を『レトロ』に、『常連客にとって居心地の良い店』から『誰もが楽しめる店』になど、一見マイナスに思えることをプラスに生かす発想で大きく改革しました」と話す。